スケルトンハウス‐きまぐれCafe

生活とビジネス

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休業の実施と休業手当

2009-09-12 10:30:37 | 社会・経済

  「『100年に1度と言われている不況の中にあり、わが社も非常に厳しい経営環境にある。この苦境を乗り切るために、4月より、賃金の60%を保証して月1回の全社一斉休業を実施する。』との通達があり、現在実施中ですが、そもそも“休業”とか“60%の賃金保証”とかって何でしょう。休業日以外の日には残業もしているのですが。。。」といった質問や、この“休業手当”の算出方法に関する質問が増えています。
  ご時勢ですかね。

  質問者の会社は何れもサービス業、物品販売業、不動産販売業などで、所謂ホワイトカラーに属する事業分野です。これを踏まえ、話は少し長くなるかもわかりませんが、お応えできる範囲でお話したいと思います。

1.休業とは

  景気が後退し、会社の業績が悪化する、若しくは悪化が見込まれそうなとき、結果として過剰となっている人員の雇用調整によって、収益の確保あるいは業績悪化回避、悪化の極小化を目的に実施される企業存続策の一つです。

  雇用調整とは、企業が労働力を減らし、収益を少しでも確保しようとすることで、様々なやり方があります。最も一般的なのが労働時間の短縮で、
  ①残業(所定外労働)時間の抑制
  ②所定内労働時間の抑制
  ③休日の増加などです。
これはどの企業も推進しており、経費・労務費の削減に繋がります。次に行うのが新規・中途採用の削減や中止ということになると思います。

  ここで言われている休業は、古い言葉では『時短』、『一時帰休』に該当する対策で、会社は雇用関係を継続し、その間、労働基準法に定められた賃金=休業手当を支払います。
今風に言えば、“ワークシェアリング”の一つの手法と考えることができます。

  わが国経済が不況に陥るなど、景気変動などにより事業活動の縮小を余儀なくされ、やむを得ず雇用調整を行った事業主に対しては「雇用調整助成金」として休業手当や賃金などの一部が支給される制度があります。

  みずほ総合研究所による
85日付発行の みずほ日本経済インサイト雇用調整助成金の失業抑制効果~助成金がなければ失業率は6%台に~」によれば、今年拡充された雇用調整助成金の申請件数は6月時点で238万件に達し、これによって抑制された(発生しなかった)失業者は45万人に上り、助成金がなければ、失業率は6.1%と過去最高(5.5%)を大きく上回っていた可能性があると試算しています。

2.休業手当と平均賃金

  質問者の会社には、月給制の正社員と年俸制の契約社員の方がいらっしゃるとのことですので、このことも踏まえてお話します。

  休業手当とその算定基礎となる平均賃金については、労働基準法第
12条及び第26条で定められています。

** 労働基準法抜粋 ***********

(休業手当)
第二十六条
 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

第十二条
 この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下ってはならない。
(以下省略)

**********************

◎休業手当の算定

  算定対象期間における休業手当は、以下により求めます。

Photo

(1)  算定対象期間
  賃金締切日が設定されている場合、直前の賃金締切日から遡って
3ヵ月が算定の対象期間となります。

(2) 賃金の範囲
  賃金、給料、手当、賞与、その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものです。当然ながら、通勤交通費も含ま
  れます。
  ただし、
(4)「賃金総額から除外されるもの」として列挙している賃金は除外します。

(3) 通勤交通費
  公共交通機関の複数月定期券代を一括支給している場合、支給している定期券代を期間月数割したものを
1ヵ月の通勤交通費とします。

(4) 賃金総額から除外されるもの
  ①休業手当
  ②賞与など3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
  ③結婚手当など臨時に支払われる賃金
  ④法令、労働協約に基づいていない現物支給

  〔注意〕

    年俸制適用者の総賃金では、

          1.月例○万円(年12回)
          2.賞与1回につき○万円(年2回)
    のように、年俸の支払方法について契約(協定)している場合の『賞与』は上記②に該当しませんので、賞与時支払合計額の
12分の1を月例額に加    算しなければなりません。(昭二二・九・十三発基一七号)(平一二・三・八基収第七八号)

(5) 総日数
  算定対象期間の『歴日数』を「総日数」といいます。
  対象期間における『会社の稼働日数』や従員個々の『実働日数』ではありません。


(6)
総日数から除外されるもの
  ①業務上起きたケガ、病気のために休業した期間
  ②産休、育児・介護休暇
  ③会社責任による休業期間、試用期間など

※本件の休業は、「会社責任による休業」に該当します。

【関係法令等】

    1   労働基準法

    2   労働基準法施行規則(厚生労働大臣の通達)

    3   12.3.8基収第78

    4  22.9.13発基第17









 

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