ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

ヒマリオとユリ

2024-11-12 12:16:48 | 
青空に薄い雲が点々としていた
風は穏やかで陽の温もりを感じる
ヒマリオとユリは川のほとりに並んで立っていた
二人の視線は川の流れにぼんやりと向けられていた

しばらくして後方のベンチに座ったヒマリオとユリ
当たり障りのない話をしても、言葉はすぐに途切れてしまう

出会った頃は互いの外見に惹かれた
ユリは美人と言われ慣れている顔立ちで
ヒマリオはユリの好みと一致した
日々を重ねるにつれ
互いの優しさや悩みを知るうちに、恋に愛が混ざり始め
思いやれば思いやるほど心の負担が増していった
恋と愛を繋ぐ薄氷の道はあまりに頼りなく
その上を共に歩く決心がつかず、ついに二人は断念した

どちらからともなくベンチから腰を上げ
少し穏やかに話したあと
「出会った時より今のヒマリオが好きだよ」とユリは声を強めた
そして無理に笑顔を描き、ヒマリオに背を向けた
ヒマリオはユリの後ろ姿が消えるまで
いや、消えた後もしばらくその場に立ち尽くしていた
コメント
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