二月六日(水)霙。
天気予報では、関東地方に積雪とあったが、霙程度に終わってホッとした。ニュースでは、中国海軍の艦艇が、自衛隊の護衛艦に、射撃管制用のレーダーを照射、いわゆるロックオンしたと報じている。攻撃を前提とした行為であることは、素人でも分かる。
マスコミや、防衛問題の専門家は、口を揃えて、「異常な行為で、一つ間違えば戦争となる」と言っている。中国海軍と海自の護衛艦との距離は、わずか三キロで、早い話が、目の前で拳銃を突きつけられ、その相手が引き金に指を掛けているのと同じ状態である。
「一つ間違えれば、戦争となる」と目くじらを立てているが、そんな大事なことを防衛大臣や総理に報告したのが、その中国海軍の挑発行為から何と一週間もたってからのことらしい。戦争にもなるような行為が、その日のうちに防衛大臣に報告もせずに、一週間もほったらかしにしている。何たる体たらくだ。考えようによっては、そんなことは日常茶飯事で、海自の方も、ロックオンされても攻撃してこないと、危機感がマヒしているのではないか。それとも素人の防衛大臣なんかに報告しても仕方がないと思っているのか・・・。
またテレビに登場する評論家のセンセイは、「中国軍の勝手な行為で、政治指導部の命令ではない」。「「軍の暴走行為」などと言っている人が多い。笑わせてくれるではないか、自分たちがそう思いたいだけではないのか。現実を直視するのが、あるいは、政治指導部の命令と認めるのが、終末論に近づくようで怖いのだろう。起きて欲しくないことは、起こらない。という戦後の平和ボケの最たるものだ。
共産党の一党独裁の指揮下にある軍部が、どれほど力があろうと、政治指導部を無視して、また命令がなくて、そんな危ないことをすると思うことこそ、非常識だ。どこの国の軍隊でも、上の命令を無視して、勝手な行動をすることなど、ほとんどありえない。まして北朝鮮と同じく一党独裁の共産主義体制の下でだ。軍隊とは、命令が絶対で、そういう軍人こそが重用される。
一つ間違えば、戦争となる。ような重大事態を防衛大臣や、総理に報告しない。野田前総理は否定をしているが、民主党政権下でも同様なことがあったにも関わらず「政治判断」で発表しなかったと日経が報じた。事実だとしたら、この国の政治家は腐りきっている。軍人や政治家が命を懸けることを忌避したら、その国は絶対に滅びるに違いあるまい。
三島由紀夫先生は、自決直前に発表した論文の中に、こう書いている。「私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行ったら「日本」はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであろう。それでもいいと思っている人たちと、私は口をきく気にもなれなくなっているのである。」
野村先生も、晩年に、「俺はもう日本の将来を見たくはない。」と仰っていた。もう政治に期待するのは無理なのだろう。
夕方から、東京行き。食事を兼ねて一軒飲んで帰宅。午前中の一瞬の雪に、野村先生の、「貧困の政治 飛雪が罵りあふ」を思い出した。