救急当番の先生が、内科クリニックから感染性胃腸炎として紹介になった82歳女性を診ていた。血清アミラーゼの上昇があり、腹部CTで膵腫脹・浸出液貯留・腹水(胸水も)を認めた。総胆管・主膵管が拡張していた。高齢女性で胆石性かとも思ったが、アルコール摂取が自称日本酒2合/日ということで、アルコール性らしい。LDH上昇以外は肝機能は正常域だった。
予後因子からみると、重症相当。当院には集中治療の余裕はない。地域の基幹病院消化器内科で受けてくれて、救急搬送になった。日ごとに悪化していく経過になりそうだ。お正月でふだんよりも飲酒量が多かったということか。
急性膵炎重症度判定基準:予後因子
重症度判定基準(厚生労働省2008 年改訂)
予後因子
1.BE≦-3mEq/L またはショック(収縮期血圧<80mmHg)
2.PaO2≦60mmHg(room air)または呼吸不全(人工呼吸が必要)
3.BUN≧40mg/dl(またはCr≧2.0mg/dl)または乏尿
(輸液後も一日尿量が400ml 以下)
4.LDH≧基準値上限の2 倍
5.血小板数≦10 万/mm3
6.Ca≦7.5mg/dl
7.CRP≧15mg/dl
8.SIRS 診断基準における陽性項目数≧3
9.年齢≧70 歳
SIRS 診断基準項目:(1)体温>38℃ あるいは<36℃
(2)脈拍>90 回/分
(3)呼吸数>20 回/分あるいはPaCO2<32torr
(4)白血球数>12,000/mm3 か<4,000/mm3 または10% 幼若球出現
予後因子は各1 点とする.スコア2 点以下は軽症,3 点以上を重症とする.また,造影
CT Grade≧2 であれば,スコアにかかわらず重症とする.
厚生労働省難治性膵疾患調査班