糖尿病のやせた高齢女性の中に、インスリンが枯渇してインスリン強化療法を要する患者さんがいる。70歳代前半の女性は昨年末に教育入院していた。インスリン強化療法を行っているが、認知症があり自己注射がきちんと行われているかどうかわからない。手技の確認や、約1か月の良好な血糖コントロールを達成して外来治療に戻すことを半年おきに繰り返していた。
今週80歳代の女性を糖尿病教育入院にした。前に担当していた先生は80歳代ということで、持効果型インスリン+DPP4阻害薬のBOTにしていた。それでは食後の高血糖を改善できない、というよりひどい高血糖になるので、今回はインスリン強化療法を導入するための入院だった。この方は一人暮らしでひどい難聴はあるが、認知症はなかった。血糖自己測定も行っている。
二人とも、自己インスリンは枯渇していて(血中Cペプチドは0.13とか)、緩徐進行型1型糖尿病相当だが、抗GAD抗体は陰性だった。これまで測定したことはないが、抗IA-2抗体も保険で測定できるようになっている。もっとも、抗GAD抗体は陽性率も高く罹病期間が長くても陽性率を保つが、抗IA-2抗体は陽性率が低く罹病期間が長くなると陽性率が低下してしまうらしい。抗GAD抗体と抗IA-2抗体は補完しあう関係なので、両者を測定する意義はある。
今週は内科クリニックに通院している60歳代の女性が低血糖性昏睡で救急搬入された。かなり年配の先生で、処方はダオニール2.5mgだった。20年以上同じ処方を継続しているらしい。HbA1cが5.9%だったので、おそらく良好な血糖コントロールとして経過をみていいるのだろう。低血糖での受診(搬入)は初めてだが、ふだんも無自覚性低血糖にさらされている可能性が高い。低血糖はグルコース静注ですぐに回復して、翌朝にはSU薬の遷延性低血糖も消失したが、今回は1~2週間入院してもらって、DPP4阻害薬だけ、あるいはそれにごく少量のSU薬併用に切り替えることにした。高血圧症で降圧薬も処方されていたが、アダラート(10mg)3Cap分3という今時見ないものだったので、それも朝1回の処方に切り替えることにした。