89歳男性が10日前からからだ全体が痛くて、動けなくなり、食事もとれないと救急搬入された。それまで家庭内では自力歩行できていたそうだ。とにかく全部痛いというので、ひとつずつ確認することにした。
頭痛はない。胸痛はない。最初腹部を押すと痛いと言っていたが、何度も繰り返して確認すると腹痛はなかった。膝・足・肘・手の関節痛はない。両手はなんとか上げられて、痛いかと訊いても痛くないという。下肢も横臥した状態で少し上げたが、痛くはないという。肩・上腕・大腿に把握痛があるとは言えない。
短期間での体動困難からリウマチ性多発筋痛症(PMR)を考えたが、診察所見がらは何とも言えない。発熱はなく、明らかな感染症は指摘できない。炎症反応は上昇していた(白血球数9000、CRP9)。凝固系の異常が軽度にあった。
黒い便汁が出るというが、、便自体は普通便だった。貧血もない。直腸指診をすうと肛門痛がひどく、出血してくる。患者さんも痔核があるという。外科医に来てもらったが、痔核があって出血性だが、普通に坐薬を入れて経過を見るくらいだと言われた。CTでみたが、明らかな大腸癌は指摘できず、肛門周囲膿瘍でもない。腎前性と思われる腎障害が軽度にある。
入院して点滴をしながら、PMRとしてプレドニン少量で経過をみることにした。血沈・抗CCP抗体・抗核抗体などは週明けに提出する。