なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

非結核性抗酸菌症

2017年01月13日 | Weblog

 昨日の午後に地域の基幹病院呼吸器科の先生から電話が来た。非結核性抗酸菌症(NTM)で外来通院している80歳男性が、数日目から全く食べられなくなったそうだ。入院させるベットがないので、当院に入院させてほしいということだった。

 昨日の午前中に、当院からそちらの病院にCPFE(IPF+COPD)の患者さんが転院したところだった(ベット待ちだった)。そういう経緯もあり、引き受けた。紹介状には、しだいに増悪していく旨を家族にお話しています、とあった。特にその日は検査してないので、NTM自体の悪化と考えての紹介のようだ。実際骨と皮の痩せ細った患者さんだった。認知症がありそうなので、頭部CTを撮影すると、前頭葉の萎縮が目立った。

 家族の話では、それまで何とか食べていたそうだが、食事量や飲み込み(嚥下)は怪しい気がした。認知症からの嚥下障害を考えた。胸部CTでみると、大小の空洞があり、かなりの壊れ具合だ(destroyed lung)。右肺の胸水と左肺の浸潤影は、NTMというより誤嚥性肺炎(随伴性胸水か胸郭炎)なのかもしれない。NTMの治療薬は副作用で内服できず、かろうじて1種類だけ内服していたが、効果は期待できないだろう。

 まずは通常の認知症の患者さんの誤嚥性肺炎として治療してみることにした。胃切除術後で胃瘻はできない。

 94歳女性が内科クリニックの紹介で施設から救急搬送されてきた。年末に大腿骨頸部骨折をきたして、整形外科で手術を受けていた。食事摂取が進まなかったが、3日前に退院して施設に戻っていた。戻ってからも食事摂取できず、クリニック(嘱託医)で点滴をしていたが、血液検査で中等度以上の腎障害があり、紹介となった。高ナトリウム血症(170)もあった。たぶん転倒した時に起きた硬膜下血腫もあったが、手術するほどではない。

 家族にはできる範囲で治療してみるが、そのまま悪化する可能もあることをお話して入院とした。病棟の看護師さんから、(これまでの経緯から)何で先生が診るのと言われたが、まあ内科はこんなものだろう。

コメント
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