循環器科に通院している89歳男性が発熱で内科外来を受診した。両側肺にスリガラス様陰性と胸水を認めた。炎症反応とBNPの症状もある。心不全も悪化していた。歩行器で少し室内歩行程度のADLで認知症もある。今週末は循環器科不在なので、他院紹介も考えたが、家族と相談して、肺炎+心不全の増悪として当院で治療することにした。悪化したさいも人工呼吸器管理もなじまないと家族に伝えた。何となりそうという見込みだが、どうなるか。
いろいろと訳ありの75歳男性が看護タクシーに連れてこられた(救急要請だと思うが)。低体温で血圧測定できず、意識朦朧として発語もない。救急室に運んだところで心肺停止となった。普通に心肺蘇生術を行ったが、反応はなかった。
この方は首都圏から当地に引っ越してきた。精神病ではないので、人格障害というべきなのか、奇異な性格だった。自宅はいわゆるゴミ屋敷となり、行政で介入して撤去になった。それだけなら、困った人という地域と行政の問題になるが、れっきとした病気があった。
重症の食道炎・食道潰瘍でPPI倍量でも改善しなかった。消化器科で内視鏡的食道バルーン拡張術をしたこともある。中下部食道が全周性に狭窄して、びらんがある。何度か入院したが、タケキャブが出てからは何とか維持できるようになった。それでも鉄剤を継続しても、鉄欠乏性貧血は現状維持がやっとで中等度の貧血が続いた。
消化器科の先生が開業した時に内科に回されてきた。せっかくのタケキャブも中断して悪化した。入院すると、一日中ナースコールで呼び出したり、病棟中を徘徊した。点滴を継続して、経管栄養食を飲んで、ミキサー食を食べることができた。
その後に、自宅に帰るか施設に入所するかで行政ともめにもめた。やっと他市の施設に入所する時は、何としても自分の車で行くというので、前後を行政の車がはさんで送って行った。
それから半年以上、外来通院していた。とにかく施設では対応に苦慮していた。よく投げ出さずに面倒を見るものだと感心した。通院は嫌がるので、なだめすかしてやっと連れてくる。
年末から食事摂取できなかったが、受診しようとしなかった。今日はあまりにひどいのと、抵抗する力もなくなっていて連れてきた。血性消化液を吐いていたそうだが、病院に来てからも吐いた。
もう縁を切ったという弟さんが、入院するたびに遠方から来ていた。もう何があってもかまいませんと言っていた。それまで散々迷惑をかけてきたのだろう。今日久しぶりに電話して、病状を伝えた。最初は嫌がっていたが、今亡くなるところというと、行きますといってくれた。ある意味病院では有名人で、今日の経緯を知ったスタッフからは、孤独死にならなくてよかったのでは、と言われた。