なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肋骨骨折でした

2017年11月28日 | Weblog

 日曜日に裏山で草刈りをしていた76歳男性が、誤って2m滑り落ちて岩に右臀部を打撲して止まった。救急搬入されて、外科系担当の日直医(大学病院の外科医で、当直も同じ先生)が対応した。右大腿骨頸部に骨折をきたしていて、整形外科の当番に電話連絡して入院にした。

 入院してから当直帯になって、間欠的な左胸痛を訴えた。それまでも時々左胸痛があったという話も出た。入院させた外科医がACSを疑って心電図をとったが、以前と変わりなかった。さらに肺血栓塞栓症を疑って、造影CTも行われたが、少なくともCTでわかる肺動脈に血栓はなかった。気胸も縦隔気腫もない。CTをとっているころから、診に行った。

 病棟に戻ってからいっしょに診察したが、圧痛もなく深呼吸でも胸痛はないということだった。何だろうと思っていると、放射線技師さんが病棟に上がってきて、「肋骨骨折があります」と言う。肋骨の3次元構成をしていて、確かに2か所でヒビが入っている。断面ではその目で見ても骨条件でもわかりにくい。「よく肋骨の3次元を作ったね」というと、「(他に撮影もなかったので)何となく作ってみました」という。心肺血管に異常がないことから、疑ったのかもしれない。いやいや、ナイスプレーで助かった。

 改めて、画像で骨折している部位を指先で押して確認すると、そこが痛いという。受傷機転からいえば、肋骨骨折してもおかしくはない。結果的には「な~んだ」いうことになった。それにしても、圧痛の有無をみるのに平手で両胸部をぐっと押した時は痛いとは言わなかったなあ。

 いったん帰ってから再度来院した家族に、外科医が肋骨骨折で、(心肺疾患ではないので)心配ないことを説明した。患者さんが「これで決まるか(死ぬか)と思った」と言うと、大病院の看護師をしているという娘に「大したことないでしょ」とあっさり言われていた。翌日の月曜日に無事大腿骨の手術が行われた。

 

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