一昨日の日直の時に95歳の女性が受診した。いつもと比べて食欲がなく、全体的に調子が悪いという。連れてきた家族(嫁も普通の高齢者)は脳梗塞が心配ということだった。
38℃台の発熱があったので、感染症による症状が疑われた。咳・痰はなく、頭痛・胸痛・腹痛・関節痛もなかった。足がちょっとむくんでいるという。左足関節の少し上が淡くピンク色にだった。分厚い靴下を脱いでもらうと、左足全体が発赤・腫脹して、圧痛があった。蜂窩織炎だった。足は痛いのかと訊いても、そういえば少しおかしいというくらい。
血液検査で白血球数増加(18000)・CRP上昇(18mg/dl)があった。肺炎・尿路感染がないか検査したが、異常はなかった。蜂窩織炎だけのようだ。爪白癬はあるが、足白癬はない。明らかな傷は認めなかった。
年齢的には入院治療と伝えたが、入院はしたくないという。外来で点滴を始めていたので、抗菌薬(セフトリアキソン)を1回入れることにした。食事摂取ができるなら、外来で抗菌薬内服でやってみて、思わしくなければ入院にするのもあるか。しかしその後、熱が40℃まで上昇して、家族もこれでは連れて帰れないと言う。そのまま入院にした。血液培養を取っておけばよかった。
翌朝(昨日朝)には解熱傾向となり、朝食は全量摂取だった。まあ何とかなりそうだ。
化学療法学会で見た「感染症内科ただいま診断中!」(伊東直哉著・中外医学社刊)を購入。肺炎・尿路感染症は省いて、「胸水・腹水貯留患者の診断アプローチ」を詳しく記載してあり、なかなか他書にはない特徴がある。著者は2007年卒の若い先生だ。(学会場で購入しないのは荷物が重くなるから)来年早々に講演依頼をする予定があり、学会では関雅文先生の講演を聴いた。もし来てもらえる時にはサインをもらうため、講演で宣伝していた「抗菌薬おさらい帳」(じほう刊)も購入した(薬剤師さん向けの本)。