なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

前立腺癌骨転移

2017年11月30日 | Weblog

 88歳男性が先月発熱と呼吸苦で入院した。喫煙者だが、胸部CTで気腫性変化はさほど目立たない。胸膜下に軽度に間質性変化があるが、それが原因とは思われなかった。酸素飽和度は正常域。

 排尿障害があってCTで前立腺肥大があったが、ハルナールの処方で軽快した。尿路感染症らしい所見はなかった。気道感染として抗菌薬(セフトリアキソン)を投与して、解熱して炎症反応も改善した。すっきりしない印象はあったが、退院とした。

 1週間後にまた同様の症状で受診した。また入院して抗菌薬を投与するといったん軽快した。今回は軽快後に発熱があったり、また炎症反応が上がったりと感染症としては奇異な経過だった。さらに今回は肝機能検査が目立った。ALP1587、LDH1177と高値を認め、肝臓由来ではないようだ。ALP=骨、LDH=癌ということになる。

 前立腺癌を疑って血清PSAを測定すると。348ng/mlと増加している。前立腺MRI検査を行うと、前立腺全体が癌に置換されていて膀胱(と精嚢)に浸潤していた。骨盤と大腿骨に骨転移があった。前立腺の画像は読めないが、放射線科のレポートにはT2強調画像で低信号、拡散強調画像で高信号とあった。

 泌尿器科医に相談して、ホルモン療法(抗アンドロゲン薬のビカルタミド)が開始された。血清フェリチンも測定したが、3482ng/mlと著増(血清鉄は低値)。Hb11.1g/dlと貧血気味だが、白血球数・血小板数の低下はない。骨転移で上昇しているのかわからないが、気持ちが悪い。

 

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