なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

通過障害

2020年02月26日 | Weblog

 先週の土曜日の日直の時に、90歳男性が食べたものが胸のあたりで詰まって苦しいという訴えで受診した。朝食はとっていて、昼過ぎに救急外来に来た。

 どのくらい前からか正確にはわからないが、以前から食べた時のつかえ感が出現して、その後軽快するという。常にでもなく、次第に進行しているわけでもない。

 嚥下自体には問題がないので、食道~胃の狭窄をきたす器質性病変があるのか、機能的な問題があるかになる。

 胸腹部単純CTで確認すると、胸部食道まで食物が詰まっていた。これでは確かに胸が詰まって苦しいという症状が出るだろう。

 内視鏡検査をしないとわからないが、三連休明けになる。どちらかというと機能性の問題かとは思った。たぶん時間経過とともに食物が落ちていくので、水分摂取で経過をみてもらうことにした。栄養剤(エンシュアリキッド)を出しておいた。連休明けの火曜日は上部消化管内視鏡検査がいっぱいで、空いていた水曜日に予約した。

 連休なので、翌日も同症状で受診する時は外来で点滴してくださいと記載しておいた。早く診る方がいい時は、火曜日に消化器科と相談とした。

 翌日の月曜日も受診して、日直の先生が入院にして、点滴を出してくれていた。火曜日に病棟に診に行くと、症状は軽快して、ポカリスエットとエンシュアリキッドを飲んでいた。

 消化器科医と相談して、もう1回CTで食物が残っているか診てからの方が、内視鏡検査の心構えが違うと言われた。食物が残っていれば、何からの処置が必要になる。

 CTを再検すると、食道内の食物は消失していた。緊急性や検査にあたっての処置も不要なので、予定日に内視鏡検査を受けてもらった(担当は外部のバイトの先生)。

 内視鏡検査では異常なしで、器質的疾患はなかった。機能的は問題になる。といって、アカラシアとはいえないようだ。

 とりあえず、食事を開始して経過をみることにした。最初に外来受診した時、通院している町の診療所でPPIが処方されていたので、モサプリドを追加で処方していた。

 モサプリドも胃は動かすが、食道を動かすことはない。食道だと六君子湯くらいしかない。食事摂取の具合をみて、対応を考えることにした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする