なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ヒトメタニューモウイルス感染症

2020年02月13日 | Weblog

 先週の木曜日に98歳女性が発熱で内科新患を受診した。施設に入所していて、発熱があるので病院を受診させるようにと家族に連絡がいったのだった。

 内科の若い先生(内科専攻医)が診察して、どうしましょうかと相談された。患者さん自身は食欲もあり、元気だった。インフルエンザ迅速試験、尿中肺炎球菌抗原は陰性だった。白血球6400・CRP4.6と炎症反応が軽度に上昇していた。胸部X線、さらに胸部CTも施行していた。右肺に淡い陰影があるようなないような、という微妙な所見だった。

 年齢的には入院が無難だが、入院は希望されなかった。抗菌薬内服で慎重に経過をみて、改善しない時はその時点で入院とした。

 翌日になって、咳・痰が増えて、38℃の発熱も続いていたので、普通に入院になった。若い先生は迅速試験を全部提出して(レジオネラ、マイコプラズマ、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス)、そのうちヒトメタニューモウイルスが陽性になった。

 これは有意なのか。治療はないので、点滴と二次性細菌性肺炎予防に抗菌薬(セフトリアキソン)を投与して経過をみることにした。胸部CTで軽度の気管支肺炎があるかもしれないので、抗菌薬は外せない。

 翌日には解熱して、順調な経過だった。もともと食欲は低下していないが、しっかり食べている。経過から見ると、細菌性気管支肺炎に抗菌薬が効いたようにも見えるし、ウイルス感染が時間経過でよくなったようにも見える。

 県内にはヒトメタニューモウイルス(とRSウイルス)を熱心に検査されている呼吸器内科の先生がいて、統計をとって発表している。

 高齢者でも孫がRSウイルス感染症に罹患している、あるいはそれまでなかった喘息様症状を呈する時には、RSウイルス迅速検査を提出していた。案外陽性に出た。

 今後は高齢者でも呼吸器症状が目立つ時には、RSウイルス・ヒトメタニューモウイルスを検査すべきなのだろうか。文献としても、内科向けの医学雑誌・医学書にはこれらの記載があまりないので、小児科のを当るしかないが。

 

 

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