なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

どこからの大腸菌?

2020年02月25日 | Weblog

 先週の土曜日に93歳男性が救急外来を受診した。3日前から食欲が低下して、腰痛が悪化していた。38℃の発熱があったが、本人も家族も気づかなかったそうだ。

 上気道症状はなく、腹痛もなかった。腰痛以外の関節痛もない。この年齢で高熱はインフルエンザ以外は細菌感染症なので、感染巣の検索をおこなった。

 血液検査では白血球7000だが(ふだんは5000くらい)、CRP 12.0と上昇していた。CK 3650・AST 114・LDH 315と筋原性酵素の上昇があった。両側大腿の把握痛が軽度にあるが、とにかく腰痛がひどい。

 意識は清明で、難聴はあるが会話は普通にできた。普段は年齢の割に元気らしい。

 腰痛は以前からあり、最近始まったものではない。発熱・腰痛だと化膿性脊椎炎になるが、確率は低いだろう。胸腹部単純CTでは肺炎像はなかった。肝胆道系も問題ないようだ。腰椎はL3-4とL4-5の椎間板が正常の1/3くらいになっている(放射線技師さんは椎間板がないと表現したが、なくはない)。腰椎の配列もL5でずれている。休日のMRIは頭部しか撮らないことになっているので、腰椎MRIを撮るとすれば連休明けになる。

 尿路感染症を疑ったが、尿混濁はなかった。前立腺肥大があり、前立腺炎も疑って血清PSAも測定したが、正常域で否定された。尿培養と血液培養2セットを提出して、抗菌薬を開始することにした。

 病棟に上がると、発熱が40℃となり、不穏を呈していた。昨年80歳代の高齢男性で、同様の高熱・炎症反応上昇・筋原性酵素上昇の症例が続いた。当初の抗菌薬には反応せず、数日経過をみて、ステロイドを開始すると著効を呈した。多発性筋炎ともいえず、何らかの筋炎としかいえなかった。

 この患者さんも同じかもしれないと考えた。三連休を抗菌薬(セフトリアキソン)だけというのも心もとない。抗菌薬に併用ならいいのではないかと判断して、プレドニン20mg/日(点滴静注)も使用した。翌朝には解熱した。

 その後に(翌日の日曜日の夕方)、病院から連絡が来て、血液培養からグラム陰性桿菌が検出されたという。菌血症による高熱と判明して、プレドニンは2日の使用で中止した。

 翌日から解熱して、食事摂取は完食となっていた。今日はベットの上にあぐらをかいて、電気シェーバーで髭を剃っていた。腰痛も軽快したようだ。炎症反応もCRP3.1と軽快して、CKも328まで低下していた。

 大腸菌だとやはり尿路感染疑いだが、尿混濁なしで尿培養陰性と出ている。どこからの大腸菌なのだろうか。

 

 

 

 

 

 

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