なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

低血糖性昏睡

2020年02月03日 | Weblog

 内科の若い先生(2人のうち学年が若い方)がハワイへの新婚旅行から帰ってきた。お土産はマンゴーチョコ。

 今日の午前中の救急当番で、さっそく意識障害の49歳女性が救急搬入された。内科医院に勤務している方だった。午前8時ごろ同居の母親が気づいて救急要請していた。

 糖尿病でその内科医院で治療を受けていた。血清クレアチニン2.6~2.9md/dlの腎症がある。先週末に眼科開業医から当院眼科に紹介されて、糖尿病網膜症と硝子体出血で精査の途中だった。

 予想通り、血糖41mg/dlと低血糖による意識障害だった。50%グルコース40ml静注で改善したが、経過をみるため入院になった。SU薬による低血糖は遷延するので入院が必要になる。

 処方はDPP4阻害薬とSU薬だったが、SU薬がグリメピリド3mg錠1日2回の6mg/日になる。最大量が処方されていたことになる。HbA1cが6.4~6.7%で推移しているので、むしろ良すぎており、これまでも夜間低血糖があったのではないか。

 昔でもグリメピリド6mg/日はそうそう見ない処方で、最近では相当に珍しい量になる(極量だから)。

 数日で退院にする予定になっているが、そうすると6mg/日(朝夕分2)から3mg(朝のみ)くらいにしか調整できない。

 できればグリメピリドを0.5~1mg/日に減量するか、可能なら漸減から中止したほうがいい。腎機能障害があるので、メトホルミンは使用できず、SGLT2阻害薬も効果を期待できない。インスリンを入れるしかないので、まず持効型インスリンを併用してBOTにするのがいいのではないか。

 網膜症があると急に血糖を下げることは禁忌になるが、HbA1cの値からみると、この患者さんはある程度の食後高血糖と夜間低血糖できていたはずだ。低血糖にしないようにすれば、BOTからさらにインスリン強化療法でも大丈夫だと思う。

 

 SU薬は基本的にグリベンクラミド(ダオニール、オイグルコン)は使用を控えるようになっている。使用するのは、グリグラジド(グリミクロン)かグリメピリド(アマリール)に限定されて、それも少量にとどめることになっている。

 グリクラジドは1錠40mgだが、20mgHA錠があり、それを0.5錠か1錠で使用している(10~20mg/日)。グリメピリドは1錠0.5mgか1錠1mgを使用している(0.5~1mg/日)。(0.5mg錠の中には割線があるものもあり、0.5mg錠を0.5錠で使用もできる)

 詳しくは下記の本。

ここが知りたい! 糖尿病診療ハンドブック Ver.4

 

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