なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

甲状腺機能低下症

2020年02月20日 | Weblog

 火曜日の当直は大学病院外科の若い先生(大学院生)だった。日中は外科新患の診察や救急対応をして、そのまま当直をするというバイトで来ている。

 火曜日は夕方救急搬入された87歳女性を入院させて、市医師会の講演会に向かった。講師は糖尿病専門医の開業医の先生(別の地区の医師会長)で、時々患者さんのやり取りがあってお世話になっている。挨拶をしておきたかった。

 自宅に帰って、CareNeTVを診ていると、当直の外科医から連絡が来た。息子と二人暮らしの85歳女性が低体温で救急搬入されたという。会話は可能で血圧はいいが、低体温・徐脈(洞徐脈40/分)で身体を温めていますという。入院させておきますと言われたので承諾した。その時は、介護の問題かなと思った。

 翌朝(水曜日)に病院に来て確認すると、血液検査で甲状腺機能が追加されていて、著しい甲状腺機能低下(TSH高値、FT3・FT4測定感度以下)だった。当直医がチラージンを1回内服させていた。

 患者さんはでっぷりとした体格で、確かに甲状腺機能低下という風貌をしていた。下腿に蜂窩織炎を来たして、両下腿の皮膚が白くなっているのは白癬症か。当直で頭部CTも検査していて、ある程度時間の経過した慢性硬膜下血腫(水腫に近い)もあった。

 体温は搬入時、通常の体温計では測定できないくらいだったが、36.1℃になっていた。洞性徐脈は搬入時よりは改善して、60/分だった。

 粘液水腫性昏睡にかなり近い病状のようだ。ACTH・コルチゾールを外注検査に出して、チラーヂン投与とステロイド(ヒドロコルチゾン)の投与を行うことにした。

 内科エマージェンシーといっていい例だ。住所は地域の基幹病院の近くだが、満床で救急の受け入れができなかったそうだ。病状的にはそちらが好ましいが、家庭環境と今後の対応を考慮すると当院向けの患者さんだ。

 

 

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