なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

心不全・肺炎

2020年11月03日 | Weblog

 2週間前から発熱が出没するという施設(老健)に入所中の91歳女性が、月曜日の内科新患(担当は大学病院からバイトの先生)を受診していた。

 検査結果が出たころに相談と思っていたが、内科再来と若い先生が診ている患者さんの相談をしているうちに、昼過ぎになってしまった。どうなったかと確認したが、利尿薬追加処方で1週間後に外来予約となっていた。

 今年の4月に心不全の悪化で循環器科に入院していた。軽快してその後は内科医院に通院している。利尿薬のアゾセミド30mg・スピロノラクトン25mgが継続処方されている。(入院時の胸部CT)

 内科医院で診察して、検査結果ではCRP0.8だったそうだ。抗菌薬内服(セファレキシン)が処方されていた。当初は38℃の発熱だったが、その後は37℃台になっていた。毎日発熱があるわけではなく、食事摂取は良好だった。割とすぐに紹介してくる先生で、自院で経過をみようと思ったくらいだから、重症感はなかったのだろう。

 当院での検査では、白血球4200・CRP1.2という微妙な値だった。肺炎疑いで胸部CTを行っていたが、両側胸水を認めるものの、4月の入院時よりは軽度だった。両側肺の背側に肺炎の陰影があるかどうかは判読し難い。年齢の割に患者さんも元気だったことから、利尿薬追加(アゾセミド30mg)で1週間後に再受診としていた。

 

 両側肺に胸水が貯留していて心不全だが、発熱と炎症反応上昇があると、肺炎・心不全(心不全・肺炎?)として、利尿薬+抗菌薬で治療する。発熱(高熱ではない)だけで、炎症反応の上昇が軽度だと、心不全の治療だけで抗菌薬は使用されないこともある。

 この患者さんの炎症反応の上がり方は感染らしさに乏しい。心不全の指標としてのBNPは普段とさほど変わっていない。軽度の肺炎があると判断するのか、軽度の心不全悪化と判断するのか、両者なのか確定しがたい。利尿薬を少し追加して経過をみるというのは、案外適切な対応だったのだろうか。

 

コメント
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