月曜日に心窩部痛・背部痛の30歳女性が救急搬入された。救急担当の内科の若い先生が対応して、急性膵炎として地域の基幹病院消化器内科に搬送した。
約2週間前の10月下旬から心窩部痛・背部痛があり、近くの医院を受診していた。2か所の医院を受診して、それぞれから同じH2 ブロッカーのファモチジンが処方されていた。月曜日は症状が増悪して救急要請した。
白血球14300・CRP0.4と経過の割にCRPが上昇していないのが不思議だった。血清アミラーゼ2165 IU/Lと上昇して、肝機能障害もあった(AST 306・ALT 379・LDH 380・ALP 869・γ-GTP 487・総ビリルビン4.7)。
腹部CT(単純)で胆嚢内に小結石があるが、総胆管拡張がはっきりしない。当然総胆管結石も不明だった。膵臓全体が腫脹して周囲に浸出液が広がっている。
この患者さんは10月始めに出産していて、アルコール摂取はない。経過からは胆嚢内の結石が総胆管に落ち込むか、総胆管内にできた結石による症状が疑われた。
造影CTを追加すること、MRCPで総胆管結石の検索を行うことも考えたそうだが、早急に搬送した方がよいと判断していた。搬送先ではそれらを行うと思う。
総胆管結石であれば、まずそれを除去するのが最善の治療になる(はず)。急性膵炎による膵腫脹によって膵内総胆管が締め付けられるという逆の機序もある。そうなると膵炎発症の機序は何かという問題になる。
昨日は警察署に拘留されている男性の治療薬を処方してほしいという依頼がきていた。高コレステロール血症の、「心血管イベントの発現リスク高く、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)で効果が不十分な場合」に使用するPCSK9阻害薬のレパーサ注だった。
2週間に1回皮下注(自己注射)するが、とにかく価格が高い。1本24565円で、2本ほしいといわれたのでその倍になる。これは全額警察署で負担する。