なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

新型コロナの(超)高齢者

2020年11月07日 | Weblog

 月曜日に新型コロナウイルスのクラスターが発生した有料老人ホームから、2名の陽性者が入院した。現時点では無症状だった。

 無症状の陽性者は本来、医療機関を受診して無症状~軽症と判断されれば、ホテル療養でもいい。しかし認知症で入所している(超)高齢者だと、病院で経過観察とされたのだろう。

 

 90歳女性は難聴があるが、会話が充分に成り立つ。食事摂取も良好で(ウイルスに負けないように)食べないとだめだと、自覚していた。室内にトイレまで行くのも杖を使用するので、転倒の心配はあるが、何とかなるだろう。

 もう一人は89歳女性で、施設からの情報では徘徊ありとあった。身体の動きは比較的良く、杖も使用していいない。ただ、明らかに認知力が低下している。入院してすぐに病室から廊下に出てきてしまっていた。

 感染症病棟は閉鎖病棟ではないので、出ようと思えは自由に出られる。看護師さんが止むなく、部屋のドアにカギをかけた(正確にはダメなのかもしれないが)。

 水曜日に、朝食を全然食べません、と報告された。病室で患者さんに確認すると、特に腹痛・嘔気があるわけでもない。気分がのらなかったのか、普段からあまり朝は食べないのかわからない。

 看護師さんから点滴ですかと言われたが、抑制しないと点滴を抜かれそうだった。施設では午前10時と午後3時におやつが出るそうなので、まず午前のおやつとして売店でパンと牛乳を買ってきて食べてもらうことにした。

 案外それを食べて、昼食も主食3割副食5割食べてくれた。食事をセッティングするだけではなく、しばらく付き添って食事摂取を促してもらうことにした。食べられないと注射になるけど、やりたくないなあ、と何気なく言ってもらうことにした。

 

 水曜日にも同じ施設から90歳女性が入院してきた。一時的に発熱・感冒症状が出たが、軽快していた。こちらは認知力はあまり問題なく、「(コロナにかかって)すみませんねえ、お世話をかけます」などと言ってくれる。ただし、身体の動きが悪かった。

 ポータブルトイレを置いて、移動する時はコールしてもらうことにしていたが、自分で動いてしまい転倒した。(動き出したのを画面で見て、看護師さんが向かったが当然間に合わない)右肩から鎖骨にかけてと両下腿に皮下出血して、肩かから鎖骨と右下腿の皮膚(薄い!)が切れてしまった。

 

 三者三様で、いいところと悪いところが混在している。今後は、認知症・フレイルの(超)高齢者の対応に慣れていくしかないのだろう。

 これまでの新型コロナは、ほとんが20歳代~30歳代(ひとりだけ79歳女性が入ったが、完全に自立した方)の患者さんだったので、看護は楽だった(初めての対応で心労は大きいが)。これなら8床全部埋まっても大丈夫くらいに思っていた。

 認知症・フレイルの(超)高齢者が入ると、そうはいかない。無症状や軽症ではなく、酸素吸入が必要でいつ急変するかわからない中等症だとさらに大変になるのだろう。(ちゃんと酸素を付けてくれるか、というところからになる)

 

コメント
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