なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺炎球菌ワクチン

2020年11月08日 | Weblog

 「市中肺炎診療レクチャー」黒田浩一著(中外医学社)を読み返していた。肺炎診療のコツがコンパクトにまとまっていて、研修医にお勧め。

 呼吸器内科医は「画像」に強いが「微生物」に弱い、感染症医は「微生物」に強いが「画像」に弱い。画像と微生物の両方に触れるテキストが必要なのではないかと思うようになりました、とある。確かに両者がバランスよく記載されている。

亀田流 市中肺炎診療レクチャー  -感染症医と呼吸器内科医の視点から

 

 この本の最後に「市中肺炎の予防ーワクチン接種」が記載されている。肺炎球菌ワクチンには、13価肺炎球菌結合型ワクチンPCV13、プレベナー13)と23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンPPSV23、ニューモバックスNP)がある。

 PCV13は、定期接種が生後2か月以上5歳未満で、任意接種が5歳以上6歳未満と65歳以上になっている。(65歳未満だと医師の責任と患者の同意で接種することになる)

 PPSV23は、定期接種が65歳以上の高齢者と、60~65歳未満で、心臓・腎臓・呼吸器の機能に自己の身辺に日常活動が極度に制限される程度の障害や人免疫不全ウイルス(HIV)によって免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある者、になっている(長い)。

 PCV13は免疫機序がT細胞を介するので免疫記憶があり、PPSV23はB細胞を介するので免疫記憶はない。両者を接種するのがよいが、順番はPCV13→PPSV23の方が、PPSV23→PCV23よりよい。

 65歳になったら、まずPCV13を接種(任意接種)して、6か月以上の間隔をあけてPPSV23を接種(定期接種)するのがいいようだ。そして5年経過したらPPSV23をまた接種(任意接種)する。(2回目以降も助成がある自治体もある)

 以前、65歳で定年になった泌尿器科医がこれを知っていて、まずPCV13を接種して、その後にPPSV23を接種していた。現在も週2回非常勤で勤務されている(施設の嘱託医もしていて、元気だ)。

 

 肺炎球菌の血清型は90種以上あり、PCV13は血清型13種、PPSV23は血清型23種しかカバーしていないので、他の血清型の肺炎球菌には罹患する。さらにワクチン接種によって、ワクチンでカバーされない血清型の肺炎球菌感染症の割合が増加しているそうだ。

 またワクチンの血清型カバーを増やして対応することになるのだろうか。そしてまたカバーされない血清型の感染が増加するといういたちごっこ?。

 

コメント
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