なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

またHHS

2015年11月09日 | Weblog

 今日は病棟も落ち着いていて、午後は医局で徳田安春先生の本を読んでいた。夕方、地域医療連携室から連絡が来て、内科医院から血糖820mg/dlの90歳女性を救急搬送したいという。さっそく来てもらうことにした。

 案外意識ははっきりしていて、こちらで測定すると血糖720mg/dlだった。医院で開始したソルラクト250mlのうち100mlが入っていた。翼状針で肘から入れていたので、搬入時は漏れていたが。ふらふらして顔面を打撲して擦過傷になっていたのは昨日の86歳女性と同じだった。頭部CTで頭蓋内出血はないが、著明な脳萎縮だった。

 数日前から食欲が低下していて、娘さんたち(息子と同居して二人暮らし)がかかりつけの医院に連れて行ったのだった。ふだん歩けるので(よたよただろうが)介護保険では要介護1になっている。カリウムを混合(血清カリウム3.7)したヴィーンF500mlとインスリン2単位(2ml)/時を開始した。今晩は電解質を2回、血糖は値によって数回測定して、明日には何とかなる予定だ。

 感染症もなく、ふだんはHbA1cが6%台だったというが、今日は15%だった。腹部CTで膵癌はない。関節リウマチとシェーグレン症候群でプレドニン10mg/日を内服していて、ステロイド糖尿病だった。血糖コントロールにインスリン注射が必要となる見込みだが、息子さんはやってくれるだろうか。

 昨日入院した86歳女性は入院後の38℃まで上昇したが、今日は午前中に37℃台で午後には平熱となった。明日は施設入所日なので、抗菌薬内服として予定通り入所とした。打撲によって左目周囲が腫脹してお岩さん状態になっているので施設では驚くだろうが。

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あと2日だった

2015年11月08日 | Weblog

 今日は日直で病院に出いている。県境近くの地域で独り暮らしをしている86際女性が、自宅で倒れて動けなくなっていると救急隊から搬入依頼が来た。意識はあり、特に麻痺や四肢の疼痛はないようだという。近くの親族が3日に1回くらい訪問しているそうだ。認知力低下があり、腰が大分曲がっているが、歩ける方だった。1日外出しないことから、ALSOKのシステムで緊急事態の連絡が親族に入ったことで訪問したのだった。

 来てみると左前額部に5cmくらいの擦過傷があり、左眼周囲が腫脹していた。朝から動きが悪かったというが、ベット付近に倒れ込んで、そのまま動けなくなっていた。昨夜からだったら、低体温症になって危なかったのではないか。腰椎圧迫骨折・大腿骨頸部骨折・橈骨遠位端骨折など、高齢者で良く見る骨折はなかった。明らかな四肢麻痺もなかった。頭部CTで陳旧性と思われるラクナ梗塞が散在して、頭部MRIで新規の脳梗塞はなかった。感染症としては、肺炎はない。尿混濁があるが、膀胱炎の所見なのか、腎盂腎炎なのかわからなかった。一人暮らしの高齢者なので、入院とした。

 搬入時は平熱だったが、入院後は37,6℃の発熱があり、急性腎盂腎炎としてよいのかもしれない。CK・AST・LDHの上昇があり、数時間倒れたままだったことによると思われた(CK-MBは有意な上昇がなく、心電図は虚血性変化なし)。点滴と抗菌薬で経過をみることにした。

 この方は以前から施設入所を申し込んでいて、明後日に入所予定だった。隣県の市に出る方が早い地域で、そちらの施設だった。入所していれば、体調不良で入院しても籍があるので、施設に戻れる。まず入所しなければならない。親族は何とか予定通りに入所させたいというが、病状しだいだ。解熱して食事摂取が良好なら、抗菌薬内服で入所に持っていきたいが、どうなるか。

 今日は小児科の受診が多く(小児科医が担当)、内科受診は少なかった。神経内科に入院していた脳梗塞の患者さんを看取ったくらいで、YouTubeでブラタモリを何本か見て、ゆっくり過ごしていた。今月は休日の日直が4回あり、これで3回が終わった。

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良書購入

2015年11月07日 | Weblog

 今日は休みでゆっくりしている。「ER・ICU診療を深める 救急集中治療医の頭の中」中外医学社を購入したので、さっそく読み始めた。一昨年出たが、中ほどの呼吸管理のところをパラパラと見て、呼吸管理はあまりやらないしと思って買っていなかった。今年同書の2が出たので、改めて中身を見ると、これが面白い。救急医療の教科書ではなく、若い先生に伝えたいことから記載してある。若い人ではないが、勉強させてもらおう。「日々是よろずER診療」のような本だ。

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胸腺扁平上皮癌

2015年11月06日 | Weblog

 内科の若い先生が、担当している73歳男性の糖尿病治療で苦慮していた。そもそもは今年の1月に咳で内科新患を受診した。担当は大学病院腫瘍内科からの応援医師だった(診療は内科一般の新患)。胸部CTで前縦隔に腫瘤があり、肝臓にも腫瘤があった。外科で前縦隔腫瘤を生検するとl、胸腺扁平上皮癌だった。

 基幹病院腫瘍内科に紹介となり、化学療法を受けたが、効果がなく治療は中止となった。疾患として別にあるのか、治療の影響か、肺に間質性肺炎の所見が出現して、全身に皮疹も出現した。プレドニンが開始されて、もともとの糖尿病が悪化して、インスリン強化療法を要するようにもなった。一人暮らしのため、治療継続で当院に転院してきた。

 血糖が200~300mg/dl台で、売店で買ってきた好きなように食べている。注意しても認知力の低下があり、うまくいかない。インスリン自己注射の指導をしてみたものの、病棟看護師さんに自己注射は無理と判断された。いろいろ食べているので、血糖測定をするとHi(血糖600以上)になったりする。内服薬の自己管理も難しい。プレドニンを中断されると(現在15mg/日)、それだけでも大変なことになりそうだ。

 これなら癌治療をしない方がましだったと思われたが、仕方がない。何とか外来治療に持っていきたいが、具体的には難しい。高齢者の糖尿病治療では、血糖コントロールよりも急性代謝失調と低血糖防止を目標にするというのがあるが、そこまでにもならない。1週間に1回のGLP-1受容体作動薬とトレシーバを2~3日に1回くらい外来で看護師さんが注射することを考えたが、外来に来るかどうかも(それも頻回に)わからない。

 病棟の看護師さんはずっと入院継続になるのを危惧しているが、どうもそうなりそうな気がする。若い先生には、この患者さんの血糖コントロールができれば、どんな糖尿病でもコントロールできると励ました(?)が。

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原発不明癌

2015年11月05日 | Weblog

 地域の基幹病院腫瘍内科から原発不明癌・多発性骨転移・肝転移の86歳男性が転院してきた。昨日まで左大腿部転移に対して放射線治療を行っていたが、そこはいつ病的骨折を起こしてもおかしくないと言われていた。患者さんは年令と病状の割には元気だった。短期間は自宅療養でもいけそうだったが、家族は日中だれもいないことと、自宅で悪化されるのが怖いということだった。オピオイドはまだオキシコンチン10mg/日。数か月はもつのだろうか。

 今日は外来がないので、余裕があった。午後から医師会報の原稿を完成させて、メールで送った。市の広報誌に載せる原稿(ひとくちメモなのでごく短い)は高血圧の話にして、ほぼ完成した。今月、山下武志先生の講演会があるので、せひ行きたい。来週は、春に退職して開業(父親の医院)する予定の消化器科の先生と院長といっしょに、大学の消化器内科に挨拶に行くことになった。代わりの赴任はないので、とりあえず今来てもらっている大学からの応援を、春以降も継続してもらうようにお願いする。

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くも膜下出血で搬送

2015年11月04日 | Weblog

 日曜日と昨日の祝日に日直をしたので、今日は朝から疲れていた。午前中は内科再来で、血糖コントロールの悪い30歳代半ばの女性の処方をどうしたものかと考えたりしていた。統合失調症でセロクエルを処方されて、著しい高血糖になって精神科から紹介されたのが始まりだった。入院中は食事療法と内服薬で良好な血糖値だったが、外来になってからはコントロールがつかない。DPP4阻害薬よりはGLP1受容体作動薬を使用したいが、注射に抵抗があって同意してくれない。

 午後は心エコー検査を予約していた92歳女性を診察した。先月内科医院から心不全で紹介されたが、肺炎の併発もありそうと循環器科が内科に回した。酸素飽和度が良いことと認知症があることから、外来で利尿薬を開始したが、うまく反応して症状は改善した。心房細動はなく、心エコー上はMR・ARの所見があるが明らかな心雑音はない。いったん紹介先に戻して、利尿薬を継続してもらうことにした。

 夕方は98歳女性が呼吸苦?で家族に連れられて受診した。当院循環器科のほかに、内科クリニック、精神科病院(認知症)にも通院している。胸部X線・CTで肺炎の陰影を認め、炎症反応も上昇していた。大きな声で叫び、良く動く(歩行可能)。家族(当然高齢者)と相談をすると、整形外科に入院した時もずっと付き添っていましたという。夜間に付き添いの家族が寝てしまった時に、動き出して転倒骨折の可能性があり、就寝時は体幹抑制をつけさせてもらうことにした。いずれも当院らしい患者さんたちだ。

 内科の若い先生が担当していた巨細胞性動脈炎・リウマチ性多発筋痛症の67歳男性が、先週末に軽快退院した。笑顔で病棟から帰っていって、病院の駐車場にしばらく止めていた車に乗って自宅に向かった。途中で突然頭痛がして路肩に車を止めて車外に出たらしい。そのまま倒れて昏睡状態となった。近くの人が救急要請して、退院したばかりの当院に戻ってきた。頭部CTでくも膜下出血だった。退院したばかりの病室(今度は個室)に戻って、昏睡状態のまま血圧・脳圧の管理が開始された。

 この方は一人暮らしで、連絡先は他県の甥だったが、その日は来れず数日してから病院に来た。もうそのままダメかと思われたが、昨日から開眼して会話ができるようになった。こんなこともあるのかと驚いたが、こうなれば脳外科治療の適応になる。担当医が基幹病院脳外科に連絡すると、快く受け入れてもらえて、すぐに搬送した。手術を受けて元気で戻ってきてほしい(リハビリ目的で当院に戻ってくるはず)。

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2名看取った

2015年11月03日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。さっそく救急隊から搬入依頼が来て、86歳女性の心肺停止だった。4年前に心臓センターのある専門病院で腹部大動脈瘤ステント留置を受けているという。腹痛(激痛ではない)を訴えた後にしばらく休んでいて、家族が意識がないのに気付いて救急要請をした。救急隊到着時は心肺停止だった。救急隊の報告を聞いて、腹部大動脈瘤の破裂と判断される。

 救急隊が心肺蘇生術をして搬入された。心停止(心静止)、自発呼吸なし、瞳孔散大だった。気管挿管して心肺蘇生を継続したが、反応はなかった。体温も下がっている。付き添ってきた家族(長男の嫁)に事情をお話して、死亡確認をした。CTで確認すると、腹部大動脈瘤破裂による腹腔内・後腹膜出血だった。半年に1回通院している処置をした病院で、いつ破裂してもおかしくないと言われていたので、遅れて病院に来た息子さん娘さんは、すぐに了解された。

 病棟に上がると、半年前から入院している90歳男性が、血圧測定不能・徐脈になっていた。病室に行って確認していると、心停止・呼吸停止となった。家族が来院するまで時間がかかるので、死亡確認は到着していからすることにした。半年前に地域の基幹病院呼吸器科から転院してきた。誤嚥性肺炎を繰り返すため、絶食・高カロリー輸液継続だった。

 そのままの治療を継続することにしたが、家族から患者さんが食べたがっているので、肺炎を起こしてもいいので食べさせてほしいと希望された。ほぼ必ず誤嚥性肺炎になるので、その際は肺炎の治療を行うが、心肺蘇生・人工呼吸まではしないということにした。嚥下訓練をすると案外食べられた。点滴も高カロリーから通常の末梢用輸液になり、それも中止した。全粥刻み食とろみ付きが摂取できたが、大抵食事中にせき込んでいた。何度か誤嚥性肺炎になったが、その都度絶食・点滴・抗菌薬で改善した。施設入所の申し込みをしたが、入所できる直前に肺炎になって、半年の入院になってしまった。先月末から悪化からの改善がみられなくなり、数口の摂取と点滴で経過をみていた。病院としては入院期間の点で好ましくない入院になったが、自然な形に近い対応だったかもしれない。

 今日は2名を看取った日直になった。他には、多発性脳梗塞の87歳女性がけいれん発作で救急搬入された。救急隊到着時にはけいれんは治まり、意識朦朧状態だったが、病院搬入時は意識が戻っていた。頭部MRIで新規の脳梗塞はなく、数個の陳旧性ラクナ梗塞を認めた、入院して抗けいれん薬で経過をみることにした。

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新幹線から

2015年11月02日 | Weblog

 昨日の日直の時に、救急隊から新幹線の列車内で心停止して回復した患者さんの搬入依頼が来た。首都圏に向かって新幹線に乗っていた62歳男性が急に嘔吐して、その後に意識消失したそうだ。車内に乗り合わせたある病院の研修医が診察して、心拍がないと判断して心臓マッサージ(胸骨圧迫)を開始したところ、心拍が戻って意識も清明になったという。AEDは使用していない。ひとりで実家に来て、自宅に戻る途中だった。

 新幹線は停車駅(もともと停車する)に止まって、降りることを嫌がっていたが、しぶしぶその患者さんは駅員と一緒に降りた。病院に搬送すると言われて、さらにいやがったが、そのまま新幹線に乗せるわけにはいかないと言われ、当院に搬入された。救急隊員も駅で降りた後の患者さんに対応したので、車内での状況は又聞きの又聞きですと言っていた(車掌から駅員へ、さらに救急隊へ)。

 救急車から独歩で降りてきて、救急室のストレッチャーに横になったが、普通に診察室でよかった。バイタルは異常がなく、すぐにとった心電図は虚血性変化も不整脈もなかった。Brugadaでもない。救急室に入ってきた時から、新幹線から降ろされたことに憤慨していた。とにかく次の新幹線に乗って帰るという。X線検査や血液検査は拒否した。一晩入院して心電図モニター下で経過観察することを勧めたが、絶対にイヤだという。途中に同じことが起こって、今度はそのまま死亡に至る可能性があるとお話したが、ダメだった。やむなく、帰すしかなかった。(数時間経過してから、自宅か実家の家族に電話して事情を説明すべきだったと気付いた。寺沢先生が若手医師セミナーの講演で言っていたことを思い出した。)

 本当に心停止に陥ったのかどうかだが、駆けつけた医師が確認しているので、その点は確かでしょうと救急隊員は言っていた。倒れた後に、車掌さんが駆けつけて、その後車内アナウンスがあって医師が駆けつけたとして、数分経過している。嘔吐した後に反射性に血圧が低下したとすれば、数分で脳血流は回復して意識が戻っていると思われるが、対応した時にも意識消失してして心拍がないと判断されている。心室細動・心室頻拍や洞停止で、心拍が停止していたのだろうか。内科の若い先生に訊いてみたが、本当に心拍停止ですかということだった。

 紹介状を持たせて、帰ったら近くの病院を受診するように勧めたが(循環器科での精査)、それもいらないと言われた。きっと受診はしないのだろう。まず無事で着いてほしい。新幹線の切符をもったまま降りたので、その切符で新幹線にまた乗って行ったと思われる。

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肝細胞癌からの腹腔内出血

2015年11月01日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。いつもなら日曜日は内科医と小児科医が出ているが、今日は小児科医から学会の地方会に行きたいと言われたので、内科だけの体制とした(責任をとって自分が出た)。当院の小児科医2名は一昨年同時に定年となった。大学病院の医局から、医師派遣はできないので今のメンバーで継続するように、という御下命がきた。定年延長の手続きをして、1年更新で3年間の延長となった。とりあえず、再来年の3月までは小児科医2名体制が続く。その後の小児科は病院の診療科目として消滅するか、日中の外来診療のみ継続となる見込みだ。入院治療や夜間休日の外来治療を、当地域の基幹病院小児科がカバーしてくれるかどうか。

 消化器科外来に、肝硬変(アルコール性)・肝細胞癌で通院している81歳男性が、数日前からの腹痛と倦怠感を訴えて受診した。肝細胞癌の摘出手術を一度受けて、その後再発(別に発生か)していた。血圧が80台と低下して、貧血だった(Hb7.5)。吐血下血の症状はなく、直腸指診では普通便少量のみの付着だった。点滴と血液検査を出して、腹部CT検査を行うと、肝細胞癌内の出血と腹腔内出血を認めた(腎機能障害があり単純のみ)。ショックバイタルではあるが、話ぶりは元気だった。外来担当医は昨夜の当直で、午前中まだ病院にいた。消化器科で入院として、今日は自分が診て、入院指示を出すことにした。ソルラクトの点滴が入ると、血圧は110くらいに改善した。濃厚赤血球輸血を今日明日2単位ずつ行うことにした。患者さんは昨日も自宅の植木の剪定をして、柿の木に上ったりしていたという。

 38歳男性が発熱(咽頭イライ感と咳も少し)で受診した。子供(7歳男児)がマイコプラズマ肺炎で小児科病棟に2週間前から入院して、やっと解熱してきたところだという。クラリスが効いていなかった。マクロライド耐性らしい。この父親はずっと病室付き添っていた。マイコプラズマ感染がうつったかどうかわからないが、レボフロキサシン(とカロナール)を処方した。

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