糖尿病で通院している45歳男性が、仕事(除染)をしている地域の病院から紹介されてきた。一昨日の夕食後、横になった時に突然右背部痛が出現した。疼痛が続いて、近くの病院を受診した。腹部単純CTで(腎症あり)、右腎臓の腫瘍疑いと判断された。本日が当院の予約日だったので、当院での入院治療をお願いしますとあった。腹部CTを見ると右腎の一部に1cm位の突起様の部分があり、それと関連しているかどうか確定しがたいが、腎辺縁部を取り囲むように出血があり、周囲の脂肪織にもまだらに広がっていた。
泌尿器科医(定年後の延長で在籍)に診てもらったが、安静しかないという。腫瘍があるかどうかは、出血が引いてみないと診断できないという。最近は腎障害が進行して、血清クレアチニンが4台で推移していたが、今日は6まで上がっていた。貧血の進行もあり、最近はHb9前後だったが、企画の病院での検査で7に下がっていて、今日は5.4だった。腹部CTを再検したが、出血量の増加はなかった。ある程度出血して、そこで止まってはいるらしい。
この方は、4年前の健診で蛋白尿・高血糖を指摘されて、3年前の春に内科外来を受診した。HbA1cが13%だった。高血圧症・脂質異常症もあった。肥満が目立ち、Cペプチドは4と高かった。治療を開始して、HbA1cが9まで下がって、中断した。12%から治療再開して9まで下がって、また中断した。昨年13%から再開して7%になり(時に8%)、最近は6%台後半になっていた。血清クレアチニンはしだいに上昇してきて、昨年から4台になっていた。腎臓内科に紹介して、透析を考えたフォローの時期にきていた。
インスリン注射や教育入院は常に拒否していた。実際、やっと就いた仕事がクビになってしまうことを恐れていた。人懐っこい感じなのだが、何か言うとすぐに言い訳のような発言をされた。一昨年に糖尿病で通院していた60歳代後半の男性が透析導入となり、できるだけ自分の外来がら透析患者さんを出したくなかった。この方は近日中になりそうで、重たい気持ちで経過をみていた。頑張れば顕性腎症の段階でとどめておけたはずだが、もったいない。
内シャント作成など、透析を担当している外科医と相談して、入院で診てもらうことになった。緊急透析をするほどではなさそうで、輸血で経過をみて、シャント作成を考慮することになるようだ。腎出血と表現すると腎臓から尿路への出血になってしまうようだが、他に言いようもない。
一昨年糖尿病腎症から透析導入になった患者さんの話を、今日外来の看護師さんから聞いた。透析を拒否して、しばらく受けていないらしい(説得はしたそうだが)。何かあった時は、透析担当の先生に連絡することになっているという。