昨夕は医師会講演会があり、大学病院呼吸器内科の准教授の先生がSMART療法と喘息の話題を講演された。集まったのは、とりあえず医師会講演会は皆勤賞のいつもの先生方(しっかり懇親会まで出席)と、興味のある講演内容の時だけ参加する先生方(講演会だけ聴いてさっと帰宅)のミックスだ。私は後者になるが、今回は講演後の懇親会まで出て(途中で早目に帰ったが)、医師会の先生方と少しお話してから帰った。
喘息の発症機序のお話をされて、とにかく喘息は気道炎症であり、今回のガイドラインでもしつこく気道炎症という言葉が出てくるという。治療は当然シムビコートのSMART療法(single maintenance and reliever therapy)を話された。喘息の長期管理薬(定期薬)として、シムビコートを朝夕2回1回1~2吸入行う。通常は発作時はSABAを使用するが、シムビコートのLABAホルモテロールは短時間(数分)で効果発現するので、発作時の頓用吸入ができる(抗炎症薬である吸入ステロイドの追加にもなる)。朝夕1吸入ずつの時は6吸入まで、朝夕2吸入ずつの時は4吸入まで追加できる。(後者の方が、喘息の程度が重いので、発作時の追加は多くなければならないのではと思うが、1日8吸入までなので仕方がない。)
現在あまり気管支喘息の患者さんを担当していないが、シムビコートを使用している患者さんではSMART療法を行っている。病棟の看護師さんも一人だけだがこれを行っていて、発作での受診がなく過ごしている。
最後にACOSの話をされた。Asthma-COPD overlap syndromeで、COPDの経過中に喘息を併発する、あるいは喘息の経過中にCOPDを併発すること。COPDの17~19%(まあざっと20%というところ)が喘息を併発している。もともとCOPDでは(周囲の支持組織が脆弱になり、虚脱しやすいことも影響する(気道の易虚脱)。治療は、喘息の治療を先行させて、要すればCOPDの治療を付加する。喘息のあるCOPDは、ICS+LABAで開始して、LAMAの追加を考慮する。喘息のないCOPDは、LAMAあるいはLABAで開始して、次に両者の併用、さらにICSの追加となる。
会場からの質問として、ちょっと訊いてみた。COPDに喘息が併発するのは気道アレルギーによるのもので(高齢発症喘息の併発)、COPD自体の気道脆弱性で喘息様の症状を呈しますが、と伺った。答えは、気道アレルギーによるものと考えており、喀痰の好酸球の確認などで気道アレルギーを確認しているという。逆に、喘息で喫煙がなくて、気道リモデリングとしてCOPDが起きますか、と伺った。喫煙がなければならないそうだ。
喘息症状(喘鳴のある発作)を呈するCOPDの患者さんの喀痰を検査しても、これまで好酸球を証明したことがなく、好中球だけ出てくるが、しつこく検査すれば好酸球は出るのだろうか。