昨夕に意識)障害と高熱で70歳女性が救急搬入された。救急当番の若い循環器科医から連絡が来て、救急室に診に行った。肺炎はなく、尿混濁があった。この方は胆嚢結石で胆嚢摘出術を受けたが、胆嚢癌と判明した。肝切除・総胆管切除・胆管空腸吻合の追加手術を受けて、外科外来で経過をみていた。その既往からは胆道感染症も否定できなかった。ただ、両側腎臓が以前のCTを比べて腫脹して、両側にある腎嚢胞のうち左側で輪郭がぼやけていた.CV tendernessははっきりしないが、急性腎盂腎炎と判断された。すでに尿培養(カテーテルで採取)と血液培養2セットが提出されていた。
発熱が41℃あり(インフルエンザ迅速試験は陰性)、悪寒戦慄があった。血圧は正常でショックではない。ふだんADL自立の方だが、両手を動かしていて、会話が合わない。最初の点滴(ヴィーンF500ml)が入ると、何とか会話ができるようになった。フルマリンで治療を開始したが、ここはカルバペネムでよかったかもしれない。今日まで点滴が2500mlとフルマリン1gが3回入った。解熱して、表情も穏やかでまったくふつうに会話ができた。お昼から食事を出すことにした。
午前中に細菌検査室から、血液培養でグラム陰性桿菌が検出されたと報告があった。出るとは思ったが、早い。血中の菌数が多いのだった。大腸菌と思われるが、最近外来の感染でもESBLが出たりするので、ESBLにも感受性が残っているフルマリンにしたが、最初からカルバペネムでスタートして、培養結果でde-escalationの方がいいかもしれない(ESBL産生菌をフルマリンで治療するのはプロに任せた方がいい)。幸いに効いているようなので、フルマリンで継続とした。
今日は感染管理のラウンドで、午後から他の病院に出かけた。若い先生に任せていたが、対象病院が増えたので、一部の病院には自分も行くことになった。100床弱の小規模病院だが、建物は比較的新しくきれいだった。基本的にはICNまかせで、細かい改善点を挙げてもらった。医療用廃棄物の入れ物の色が地味な濃い灰色だった。当院のは赤で、いかにも危険物っぽい。その点が気になったが、適切な指摘でもないようだ。その病院ではインフルエンザが数例出ているそうだ。当院ではまだ出ていない。