なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

多発性筋炎?

2015年11月26日 | Weblog

 今日は整形外科クリニックから、76歳男性が先月初めからの両下肢の疼痛・筋力低下で紹介されてきた。肩~両上肢の疼痛と筋力低下もあった(下肢よりは軽度)。両下肢(下腿)に浮腫もあった。気管支喘息で内科医院に通院しているが、足の痛みということで、整形外科を受診した。炎症反応上昇があり(CKの上昇もあった)、リウマチ性多発筋痛症/RS3PEを疑って、ステロイドを投与してみたが、改善しないのでということだった。微熱があったが、自覚はしていない。

 プレドニゾロンを最初5mg/日投与して、改善しないので10mg/日に増量して、改善しないのでまた5mg/日に戻してという処方だった。紹介を決めた数日前からは12.5mg/日にしていたが、患者さんは内服していなかった。投与量としては疑問だが、検査値が少し反応して改善していたが、症状は変わらないのは、診断の参考になる。

 紹介状を見て、最初は診断は合っていてステロイドの投与量の問題かとも思ったが、そもそもCK上昇があれば診断が違う。紹介先の検査ではCKのみの上昇で、AST・LDHは正常域だったが、当院の検査では全部上昇していた。しゃがんでから起き上がってもらおうとしたが、しゃがみ込むこと自体が辛くてできない。浮腫の原因としては、低蛋白血症があった。心不全・ネフローゼ・肝硬変・甲状腺機能低下はない。明らかな皮膚症状はなかった。

 肺の聴診で両側下肺野にVelcroラ音を聴取した。胸部X線で両側下肺に陰影があり、胸部CTで確認すると、両側下肺の背側から腹側にかけて胸膜直下に目立つ間質性肺炎の所見があった。2008年に当院呼吸器科を受診した時の胸部X線・CTは異常がない。毎年胸部X線の健診を受けても異常がなかったが、先月の健診で初めて要精査となった。なったが、精査の結果大丈夫と言われたという(患者さんの話)。軽度の変化のみで経過観察になったと推定される。ということは、間質性肺炎は最近出現してきたと判断される。筋症状と同時期の出現ということになる。

 抗核抗体・抗Jo1抗体は外注検査なので、すぐには結果で出ないが、多発性筋炎疑いとして、リウマチ膠原病科に紹介することにした。2か所の病院を提案して、希望する病院のリウマチ膠原病外来の予約をとった。CEAとCA19-9は正常だった。

コメント (1)
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