宮城学院 食品栄養学科で日本になじみの深い食材の利用、加工について学ぶという趣旨で、昨年度は大豆で、今年は米でした。
縁ある”新澤酒造”の蔵見学をしてきました。
食中酒をめざした製法で蔵出しをするのは、
かって土井晩翠が愛飲した”愛宕の松”
若杜氏が世に送り出し、評判を呼び手に入りがたい酒となった”伯楽星” が
2大銘柄です。
若き血潮にあふれた若杜氏、新澤巌夫氏による1時間半にわたる、学生を意識した流通生産、コスト、酒造りの過程についての適切な説明は、日本に現在を象徴していました。
”こめ”の世界でも標準化が浸透している。標準以下のコメは減少したが、上質特殊米は極減してきている。並が推奨され、跋扈している。
評判のよい上質米の奪い合いは、資金力で押し切られる。
小規模の蔵は、大手に押し切られないために、生産者と直結してリスクを回避する努力を怠れない。
自然の天候に左右されるので、自然変動に伴う生産物のリスクも負って、原料確保に当たらなければならない。
酒蔵の一石は一升瓶1000本などなど興味が尽きません。
伯楽星の試飲で、精製後の期間による味の変化を加味した、消費者にわたるころあいを見計らって出荷時期を決めているというのも、旬で飲んでほしいという思いが伝わってきました。
標準化の跋扈は、医療界でもまったく同じ。
上質の酒を提供する小規模の蔵の苦労と、患者に合わせた標準以上の成績を挙げる治療に対する病院に対するパッシングと同じであるのに思わず苦笑。
ごく上質と認定されればもてはやされるが、同じでも評判をとるかそうでなければ生き延びるのが大変な世界が拡大しているけれど、心意気に通じる人がいる限りは、日本も見捨てたものではないと思うが、大変には変わりない。