96歳になる患者の受診日。
挨拶をして、
診察とはいえ、30年来の付き合いですから、世間話が多くなり、
”長生きしすぎ”という言葉を、何回か発しますが、死にたいとは言いません。
お盆、そしてお彼岸までは生きられるかしらと言って、車いすを押されながら出てゆきます。
患者の年齢に達するまで、私は、大学卒業までの時間を生きて、生き続けてと想像することしばし。
外皮的属性なく、心を寄せて時間を過ごせる人はすでにこの世を去って、
はてさて、明日につなげるものは、
亡き人の法事、
同居している猫の寿命が尽きるまで
昨日、あと6年半は、生きていないと、望む形での法人解散に至らないことを知ったので。
体力、知力の減衰を伴いながら、でも、まだ、感情鈍麻には至っていない生存。
社会の一員として、最も研鑽を積んできた医療の分野で、父から贈られた言葉、慈療済世を心に抱いて。