豊かさを求める 会長日誌

家づくりと言う事業を通じ、多くの人々の人間模様を綴ります。

1000年持つ木材…北斗市

2009-06-22 18:09:25 | ファース本部
「釘を一本も使用しない伝統的な匠の技」は、究極の木に造作の技法と思われています。それは、土台、柱、梁などの主要構造部材の継ぎ手の仕口の処理方法です。しかし伝統的な寺院、仏閣などでも野地板や小間物を打ち付けるには、どうしても釘を用います。

写真の釘は、その野地板を打ち付ける一般的な釘(左)です。釘を木に打ち付けると金属の釘は、しだいに酸化(錆びる)して木材の中で膨脹し抜け難くなります。つまり、釘の酸化によって引き抜き強度を増し、野地板がしっかりと固定されるようにしたのです。

金属の釘が酸化(錆びる)と言う事は、釘を打ち込んだ木材が釘を酸化させるために必要な水分を持っている事が前提となります。ところが昨今、家づくりに使用される木材は、機械の乾燥機で強制的に乾燥されたものが使用されるようになりました。

この乾燥機械の無かった時代は、日陰で風通しの良い場所に、何年、何十年もの長期間に渡り乾燥させた木材を使用しました。それでも人口乾燥機と異なりカラカラ状態にはなりきれませんでした。この自然乾燥でも微量に水分の残る木材を切り込んで組み上げたのです。

この微量に残った木材の油脂や湿気が、建築物となってから収縮を始めて狂い出すのです。匠の技とは、この木材の狂いを上手に生かして、組み込んだ木材の継ぎ手が狂って絡まり、抜けなくなって剛性を高めたのです。釘を酸化させて強度を増したのと同じ技法です。

石膏ボードや樹脂建材などの新建材を多用する現在の建築では、木材の収縮が様々なところに問題を起こすため、人口乾燥機で完全乾燥させた木材を使用するようになりました。したがって木の狂いも少なくなってなり継ぎ手の剛性を増す事も期待できなくなります。

必然的に構造継ぎ手金物を使用する事になるのでしょう。また写真の右の釘は、ギザギザが刻まれており酸化しなくとも、ある程度の引き抜き強度が出るようになっています。紫外線をあてず、動く空気に曝す環境に置くと木材は1000年以上もの寿命を有します。

我々の先人は、木材の目を読み、収縮を計算する匠の技で1000年可能な建築物を作ってきました。時代がどのように進化しても、先人達が培った匠の技の思想と志を風化させてはいけないと思うのです。

今週は、週末まで研究開発室にこもり、研究業務にせいを出します。

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