昔の日本の住まいは、家族の団欒が、茅葺屋根の家で囲炉裏を囲んで人々が育まれました。
家の中は寒いので必然的に家族がこの囲炉裏端に集うのです。
この囲炉裏の周りで喧嘩をし、仲直りの仕方を覚え、爺さん、婆さんの昔話を聞きました。
※画像をクリックすると囲炉裏が見れます。
親兄弟、姉妹から自然のうちに躾を教わっていたのでしょう。
家族が一緒に喜び、哀しみ、人として必要な社会性や人間性を育んでいたのです。
このように昔の家屋は、まさに人づくりの役割まで担っていたのだと思われます。
囲炉裏は、長方形の短辺の一箇所が「横座」と言ってその家の家長(主人)が座ります。
家長は、北側に背中を向けて鎮座し、もっぱら薪を焚く役割を果たします。
女の人は、囲炉裏の吊り下げられた金物に鍋をかけて、お湯を沸かし、ご飯を炊きます。
子供たちは囲炉裏の周りに卓袱台(ちゃぶだい)を持ち込み、囲炉裏の炎で顔を赤く染めながら談笑し、食事をとり、勉強も遊びも行いました。
私達団塊世代は、その最後の経験者だったかも知れません。
家庭は社会の縮図であり、家はこの自然の営みの中で人づくりまで行なってきたようです。
昔の日本家屋の多くは、囲炉裏(いろり)を中心に家族との融和をはかっておりました。
時代は大きく変貌しました。
今、住宅環境はそのまま囲炉裏端(いろりばた)文化の再現など出来ない状況になっています。
それでも、この先人達が残した家づくりの思想だけは、生かさなければなりません。
居間を家族が参集できる最適な環境にすることが肝心です。
冷暖房空間だけでなく、スペースの取り方も居心地の良さを思考すべきです。