読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

似顔絵

2009年12月26日 05時29分09秒 | ■読む
山藤章二著、岩波新書刊
山藤さんの似顔絵などの作品は、週刊朝日の「ブラックアングル」で拝見していました。また、同誌の「似顔絵塾」が深く印象に残っています。下記のURLによると、母子家庭で苦労して成長した。そして、思春期の多感な時期に挫折を味わっている。あるいはそうした経験から、世の事どもを少し異なったアングルから見る視点を持てたのではないかと思います。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/山藤章二
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本書は、山藤さんの青年期から社会へ出てからの活躍のあらましと「似顔絵塾」の作品の分析と紹介、笑いの本質、「ブラックアングル」のことなどを紹介しています。その中で印象深かい指摘がありました。かつての物まねは、芸として成立しており、どれほど本物に似ているかが勝負であった。しかし、タモリが、例えば寺山修司の真似をするときには、なるほど、寺山さんだったらこういう話し方をするのではないか、と納得するような芸を披露した。ここから「真似る」ことに変化が始まり、モデルの特徴を誇張したり、少しでも似ているところを楽しむ方向に変化したのではないか、といった趣旨のことが書いてあります。全く同感です。タモリが登場した頃に大橋巨泉が、タモリは永く持たない、とのコメントを出したと記憶していますが、当時の正当な『芸』の範疇から見ると、「児戯に等しい」という評価であったのかもしれません。しかし、当時の私の感想は全く異なります。これはなんという凄い「才能」だろうと思った事です。見た事も効いた事もない「技」にびっくり仰天でした。多国籍の人による麻雀やイグアナの形態模写など、全く独創的なもので大笑いしながら笑い転げました。
さて、本書で山藤さんが語る様々な事柄は、含蓄が深く、山藤さんの志の高さや思いの深さの一端に触れた気がします。似顔絵の作品の数々を見ながら感嘆し笑いながら、人が笑う事の意味を考えさせられました。良書です。
評価は5です。

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