岡根谷実里著、大和書房刊
著者は、食について疑問を感じたことから実際に世界各国へ赴き、普通の家庭でお世話になりながら、その土地の食の有り様を紹介しています。
内容は軽めの物からウルトラヘビー級の物まで多岐に亘っていますが、現実に向き合った上で、その有り様を深く浅く探求しています。
文章も分かり易く、編集も素晴らしい。
理論倒れで無く思想的な偏りも感じられず、現実をありのまま捉え、真っ直ぐに受け止めていて好感が持てます。
現役時代、ISO14001の認証取得に際し、集中して環境に関する様々な分野の書籍を読みました。
環境負荷の現状と、それを解決する方策が様々に模索されていますが、根本的な問題は、人間が増え過ぎたということだと感じました。
人口が指数関数的に増えるのだから、地球温暖化対策は焼け石に水としか感じられません。
電動自動車にしても、自動車の台数が指数関数的に増えれば、弥縫策にしかなり得ないのではないでしょうか。
そもそも、生産から運用、廃棄に至るトータルの環境負荷を検証したという例を目にしたことさえありません。
地球上で、かつて生存したことのない、最強で最凶な生物「人類」は、少しずつ破滅に近づいているに思います。
もっとも、気候が変動し汚染物質が増えて人類が滅んでも、何らかの生物が生き残る、あるいは、激変した環境に適した新たな種が誕生することは間違いありません。
だから、地球環境を守ることは、人類が生き延びるための方策で、他の生物に対する配慮ではありません。
以上は私見に過ぎませんが、著者はどのように感じているのでしょうか。
本書を読んで、現実の問題が深刻でも、人々が身の回りの食材を手に入れ、多様な加工を施して、少しでも美味しいものを食べている日々の営為に触れて、ほっとしました。
良書と思います。
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○岡根谷実里
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評価は5です。
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