写説 『坂の上の雲』

谷沢永一、太平洋戦争研究会共著、ビジネス社刊
本作は、司馬遼太郎さんの同名小説を下敷きにしたもののようです。明治の近代国家揺籃期に活躍した人々の群像を写真を交えて紹介しています。小説は、作家の世界観が濃密に反映している一方で、全体像を正確に捉えることが難しい。特に司馬さんの同作品は長大であるため、本書などは、そのエッセンスを詰め込んだ良書と言えるのではないかと思います。司馬さんの作品は二十代で多く読みました。「竜馬がゆく」、「尻啖え孫市」、「世に棲む日日」、「花神」などです。思い入れの強くない淡々とした文体であったと思います。
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ＵＲＬ => http://ja.wikipedia.org/wiki/司馬遼太郎
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この一種乾いた文体の奥底に秘められた司馬さんの想いがずっしりと心に残ったように感じます。主人公の一生を通じて、生きる意味や、無意味さを考えさせられました。本書はそんな司馬ワールドを分かり易く、的確に描いている良書でした。
評価は４です。