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小川哲著、早川書房刊
カンボジアで一時政権を取り、共産主義の実現と純化の為、邪魔になる知識人などの国民を大量に虐殺したクメールルージュの時代を中心に描かれた作品です。
登場する人物の名前、日時、場所が冒頭に記された短い文章を積み重ねて、複雑な社会状況と、それぞれの人物の物語を語りながら、ゆっくりと終局へ導いています。
この手法によって、それぞれの人物の視点から、同じ風景が少しずつ異なって描き出され、物語が多面的な意味合いを持ちます。
本作の主要な登場人物は、それぞれに特異(偏った)な関心を寄せており、それが状況を歪ませ、動かす原動力になっています。
小説であれルポタージュであれ、人それぞれの独自性に焦点を当てることが多いながら、これだけ多くの人々を破綻なく行動させ、関係させて物語の推進力にする手法は見事です。
「ゲーム」という言葉が本作の駆動力になっていますが、結末は、驚くほどに純粋です。
未知の才能に出会いました。今後が楽しみです。
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○小川哲 ○クメール・ルージュ
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評価は4です。
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