吉村昭著、講談社文庫刊
1977年(昭和52年)の出版された作品です。かつて、妹尾河童さんのイラスト入りの著作で、北海道の監獄が紹介されており、明治期に、囚人が北海道の原野を真っ直ぐに貫く道路を建設したこと、その際の人的損害が非常に大きかったことを読んだ記憶があります。
本書は、明治14年から大正8年までの38年間の、北海道の監獄の歴史を描いた作品です。吉村さんの著作らしく、綿密な取材に裏打ちされた、彫刻刀で刻み込むような、記録文体で露わにされる世界は、戦慄を覚える恐ろしいものです。
明治初期の偏った政治状況下で、政府に反旗を翻した多くの元士族の人々など、大量の無期懲役者を北海道の開発に充てることは、囚人の消耗が国家の為になるとの峻烈を極める政府の方針に基づいて行われたものでした。冒険小説で描かれる、主人公が直面する過酷な場面を上回る場面の連続に圧倒されました。
例によって吉村さんは、ご自分の判断を述べることなく、事実を並べて、その有り様をむき出しにして提示しています。何か重い鉛を飲み込んだような読後感がありました。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/吉村昭
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評価は4です。
1977年(昭和52年)の出版された作品です。かつて、妹尾河童さんのイラスト入りの著作で、北海道の監獄が紹介されており、明治期に、囚人が北海道の原野を真っ直ぐに貫く道路を建設したこと、その際の人的損害が非常に大きかったことを読んだ記憶があります。
本書は、明治14年から大正8年までの38年間の、北海道の監獄の歴史を描いた作品です。吉村さんの著作らしく、綿密な取材に裏打ちされた、彫刻刀で刻み込むような、記録文体で露わにされる世界は、戦慄を覚える恐ろしいものです。
明治初期の偏った政治状況下で、政府に反旗を翻した多くの元士族の人々など、大量の無期懲役者を北海道の開発に充てることは、囚人の消耗が国家の為になるとの峻烈を極める政府の方針に基づいて行われたものでした。冒険小説で描かれる、主人公が直面する過酷な場面を上回る場面の連続に圧倒されました。
例によって吉村さんは、ご自分の判断を述べることなく、事実を並べて、その有り様をむき出しにして提示しています。何か重い鉛を飲み込んだような読後感がありました。
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