村山由佳 著、文春文庫 刊の直木賞受賞作品です。家族の一人ひとりを丁寧に取り上げた6編の短編集です。私は恋愛小説を好みませんが、人を好きになる切なさが胸に迫りました。そして、ごく近しい家族であっても、互いに本当に理解することはできず、思いやることができるだけと・・・。作者は「あとがきにかえて」の中で、『人間、「自由であること」を突きつめれば、「孤独であること」にも耐えなくてはならない。』と語っています。また、『でも、そうして自分だけの足で独りで立つことができてこそ、人は本当の意味で他の誰かと関わることができるんじゃないか。』と言っています。孤独の中に生きていることを自覚するのはつらいですが、孤独だからこそ他者を思い遣れるのだと思います。
作中に登場する「父親」は、戦争で体験したことが、戦後の生き方に大きく影響していることが精緻に書かれています。作品の印象から、作者はそう年配の方ではないのかな、と読み進んでいたので、どうしてこんなに書き込めるのかと思っていたら、作者のお父様は終戦でシベリアに抑留されたとのことです。ネットで調べたら1964年に生まれたそうです。丁度私と10歳違いです。
悲しさの中にかすかな光を感じる、読後感の良い作品です。久方振りに、恋する切なさが実感できた一冊でした。
評価は5です。
作中に登場する「父親」は、戦争で体験したことが、戦後の生き方に大きく影響していることが精緻に書かれています。作品の印象から、作者はそう年配の方ではないのかな、と読み進んでいたので、どうしてこんなに書き込めるのかと思っていたら、作者のお父様は終戦でシベリアに抑留されたとのことです。ネットで調べたら1964年に生まれたそうです。丁度私と10歳違いです。
悲しさの中にかすかな光を感じる、読後感の良い作品です。久方振りに、恋する切なさが実感できた一冊でした。
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