読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

私の嫌いな10の人々

2010年06月30日 17時48分34秒 | ■読む
中島義道著、新潮文庫刊
中島さんの本は面白い。最初に読んだのは「うるさい日本の私―「音漬け社会」との果てしなき戦い」でした。単なる変人の戯言にもとれる主張が、実に筋が通っていて痛快でした。しかも、中島さんは、迷惑であると思っていること(例えば、電車内のアナウンス)に実際に抗議したらしいのです。相当に変わった人だと思いながら、自分が思ったことをはっきりと主張できたら良いなぁ、と憧れました。
-------------------------------------------------------------
URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/中島義道
     http://122.200.201.84/interview/archives/no100.html
     http://tesso.exblog.jp/tags/中島義道/
-------------------------------------------------------------
さて本書です。中島さんは、以下の10のタイプの人が嫌いだとしています。
 ●笑顔の絶えない人
 ●常に感謝の気持ちを忘れない人
 ●みんなの喜ぶ顔が見たい人
 ●いつも前向きに生きている人
 ●自分の仕事に「誇り」をもっている人
 ●「けじめ」を大切にする人
 ●喧嘩が起こるとすぐに止めようとする人
 ●物事をはっきりと言わない人
 ●「おれ、バカだから」と言う人
 ●「わが人生に悔いはない」と思っている人
中島さんによれば、世の中に嫌いなタイプは沢山あるけれども、その大方は普通の人も嫌っている。しかし、上記の、一般的に善人とされている人々のどこが嫌いなのかを、丁寧に説明しています。簡単に言えば、自らの思考で検証しないで「フツーこうするよね!」としている人々です。一々ごもっともで感心してしまいます。
今回の著作で、著者は、恐ろしく暗い思春期を過ごしたらしいこと、疎外感に満ちた社会生活を送ってきたらしいこと、世間に馴染もうと努力してきたらしいこと、そして、結局、居直って(?)自分に正直に生きようと決意したらしいことが窺えます。
恐らく、苦しみ抜いて、この茨の道を選び取ったのだと思います。解説は麻木久仁子さんが書いています。正に、著者が嫌い抜いている、嫌悪しているマスコミで売れている方なのでビックリしましたが、読んで納得。世の中には、沢山の人が苦しみながら生きているのだと感じました。本書は、世になじめない人へのエールになるとともに、前向き肯定的な生き方に疑問を抱いている人にも一読をお勧めします。
評価は4です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 虎の尾を踏む男達 | トップ | 東京ゴッドファーザーズ/DVD »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■読む」カテゴリの最新記事