読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

“海の狼”駆逐艦奮迅録―第七駆逐隊太平洋海戦記

2021年02月11日 11時39分20秒 | ■読む

大高勇次著、光人社刊
著者は、明治42年に生まれ、手の付けられない暴れん坊でしたが、たまたま目にした駆逐艦「菊」にあこがれて海軍に入隊し、海軍通信学校を卒業後、憧れの駆逐艦「菊」に勇躍乗り込んだものの、既に老朽化した駆逐艦の劣悪な居住環境と厳しい現実に直面します。

駆逐艦の勇壮な活躍を期待して手に取りましたが、記述の中心は、駆逐艦の任務の性質と厳しさです。巡洋艦以上の戦艦や空母と全く異なる環境と任務の厳しさが、兵士の勤務スタイルと共に描かれています。これはこれで大変興味深く読みました。
厳しい任務の実際が飾り気なく語られていますが、記述の7割程度は、艦内の自堕落とも思える生活に割かれています。

また、太平洋戦争の現場の雰囲気と戦闘のありようが生々しく描かれており、ミッドウェー海戦などの評価が世の通説と大きく異なっていますが説得力があります。

著者によれば、海上での戦闘の敗因は、アメリカ軍がレーダーを実用化し、大量の物量と機械化された土木作業を活用したこと、攻撃目標を輸送船を主にしたに対し、日本軍は軍艦を主にしたことことも大きいとしています。戦争の継続を支える最も重要な点が兵站であり、日本軍の敗退の主因がそれであったのであれば当然のことで、まったく同感です。

多くの玉砕した島々への危険な輸送任務の実際が描かれており、飢餓で無くなった兵士達がいかに多かったかは、ひとえに、兵站という、戦いの最も重要な要因を無視した戦略上の欠陥故であったことが分かります。
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駆逐艦
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評価は4です。

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カメラまかせ 成り行きまかせ  〇カメラまかせ 成り行きまかせその2


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