小鬼たちが棲む宿

縁あって、新潟県の五頭温泉郷 村杉温泉にある「風雅の宿 長生館」に宿りました。ひなびた風情の温泉街で、建物も立派とは言えない外観ですが、一歩足を踏み入れると、こぢんまりとした中に、暖かく行き届いた持て成しでした。従業員の皆さんの節度ある接客は大変に気持ちの良いものです。客室も丁寧に使いやすく維持されており、露天風呂や庭にも行き届いた心配りを感じました。また、室内のあちらこちらには、洗練された椅子が置かれています。木製の誠に美しい品々でした。
そうした宿で目を引いたのは、ホテルロビーに面した庭に遊んでいる「小鬼たち」です。酒宴を開いていると思しき６匹の鬼達は楽しそうです。あるいは太鼓を叩いたり、酒を飲んだり、一献を傾けたりと、誠に幸せそうな表情です。また、池の傍らには、大きな鯉を捕まえようと必死の形相の小鬼が。さらには、印を結んでだ小鬼など、多彩でした。室内にも、幸せそうにまどろむ小鬼有り。
酒宴の際、挨拶に来た女将が際に尋ねると、こうした設えや調度は、大女将がしているとの事でした。幸い、宿を発つ際に大女将にお会いできたので、件の小鬼たちのことを伺いました。（大変に品格のある方で、独特な美意識を感じさせる装いでした）
大女将によると、同じ集落に住む瓦職人が、需要の落ちた生産の傍ら、10年程前から、こうした作品の創作を初めたとのことです。宿にあったチラシによれば、村上茂という方だそうです。
心穏やかにゆったりとした過ごせた一夜となりました。
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評価は４です。