小室直樹著、徳間書店刊
小室さんの著書は痛快です。本書は、主にキリスト教、仏教、イスラム教、儒教を取り上げて各宗教の本来の教義と、その教義の所以を解説しています。著者は博識であるため、宗教だけでなく隣接領域の話も必要な範囲で触れられており、本書で宗教のアウトラインが理解出来ます。
上で「各宗教の本来の教義」と書いたのは、キリスト教と仏教は、本来の教義とかなり異なってしまったからです。長い歴史と伝播の過程で、変化して行ったためです。特に地獄と天国(地獄)に関しては、本来両者ともその存在を示していなかった。それが布教の過程で存在するものとなってしまったということです。
キリスト教と仏教との相違点で面白いのは、「キリスト教では、罪が死の原因である。これとまさに対蹠的に、仏教では罪が生の原因である(p234)」のくだりです。また、本来のキリスト教は予定説に立っており、その意味する所が、カトリックによって大いにゆがめられた結果、プロテスタントが予定説に立った主張をなし、更にこれが資本主義の誕生を導いたとする論理構成が事実とすれば、何と不自然で人間の身勝手さを証明しているように感じました。
私は神様が存在すると感じていますが、特定の宗教に魅力を感じません。計り知れない存在を推し量り、信仰体系を人間ごときが作れるとは得心出来ません。多くの宗教的儀式は、人が人の心を納得させるための儀式と感じます。本書を読んで、更にその感が深まりました。宗教は、人がこの世で生きる上で経験する様々な不条理を、どの様に理解し、どのように解釈し、どの様に行動すべきかを、まとめた価値体系であると思います。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/小室直樹
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評価は5です。
小室さんの著書は痛快です。本書は、主にキリスト教、仏教、イスラム教、儒教を取り上げて各宗教の本来の教義と、その教義の所以を解説しています。著者は博識であるため、宗教だけでなく隣接領域の話も必要な範囲で触れられており、本書で宗教のアウトラインが理解出来ます。
上で「各宗教の本来の教義」と書いたのは、キリスト教と仏教は、本来の教義とかなり異なってしまったからです。長い歴史と伝播の過程で、変化して行ったためです。特に地獄と天国(地獄)に関しては、本来両者ともその存在を示していなかった。それが布教の過程で存在するものとなってしまったということです。
キリスト教と仏教との相違点で面白いのは、「キリスト教では、罪が死の原因である。これとまさに対蹠的に、仏教では罪が生の原因である(p234)」のくだりです。また、本来のキリスト教は予定説に立っており、その意味する所が、カトリックによって大いにゆがめられた結果、プロテスタントが予定説に立った主張をなし、更にこれが資本主義の誕生を導いたとする論理構成が事実とすれば、何と不自然で人間の身勝手さを証明しているように感じました。
私は神様が存在すると感じていますが、特定の宗教に魅力を感じません。計り知れない存在を推し量り、信仰体系を人間ごときが作れるとは得心出来ません。多くの宗教的儀式は、人が人の心を納得させるための儀式と感じます。本書を読んで、更にその感が深まりました。宗教は、人がこの世で生きる上で経験する様々な不条理を、どの様に理解し、どのように解釈し、どの様に行動すべきかを、まとめた価値体系であると思います。
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