麻生幾著、幻冬舎刊
麻生さんの最新書き下ろし作品です。麻生さんの作品で最初に読んだのが「エスピオナージ」で、その後「特命」、「外事警察」、「外事警察 ジャスミン」を読みましたが、いずれの作品も緊張が漲っていました。
本作は一転して、SAT(特殊急襲部隊)の隊員達が主人公です。即応体制を維持するため、日々、最高レベルの苛酷な訓練を積む隊員達は、「キントツ(緊急突発事案)あり」の指令によって即座に出動し、素早い情報取得と作戦立案の元に、一糸乱れぬ制圧行動を行う。主人公のSATで制圧班長を務める南條は、小学生の時に父親を町中のテロで亡くしている。
ある訓練中、キントツの指令により赴いた現場では、二人の人物が銃を乱射して無差別テロを行っていた。統制の取れた行動で犯人達を捕捉するが、一人の女性を人質にしていた。女性を救出しテロリスト達を制圧しようとするが・・・。
職業に貴賎が無いのは当然で、どんな仕事も楽なはずはありません。しかし、命を掛けた仕事というのは格別でしょう。厳しい訓練を積み重ね、強靱な肉体と精神を維持する日々は過酷であろうと思います。ましてや、家庭を持っていればなおさらです。本作では、そのようなプロフェッショナルな仕事についての知見を得て執筆したようで、アメリカのアクション映画のような派手さではなく、真に迫った統率、偵察、制圧行動が、銃撃戦を交えて精密に描かれています。
実際に、このような過酷な業務に従事されている皆さんに敬意を覚え、その世界を臨場感豊かに描いた麻生さんの力量にも敬服しました。ただし、プロットは、やや甘いように感じました。
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○麻生幾 ○SAT
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評価は4です。
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