読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

ソニーデジカメ戦記 もがいてつかんだ「弱者の戦略」

2024年08月13日 08時06分09秒 | ■読む

語り手:石塚茂樹、聞き手:山中浩之、日経BPマーケティング刊
私が20代の頃、ソニーはキラキラと輝いていました。
突出した技術と斬新なアイディアを製品にしていた印象がある。
また、ビデオのフォーマット普及の闘いに見られるように、我が道を行くスタイルが感じられた。
例えば、デジタル・オーディオ・プレーヤーでは、インターフェースを独自のものにして、更に非常に使いづらいソフトをバンドルしたり、外部メモリーを利用できないなど、顧客を無視した製品作りは、全く酷かった。
アップルと多くの共通点が見られますが、先見性や革新性がアップル程には持続せず、メーカーとしてのステータスが低下し続けたように思います。(ジョブズが追放されていた時期と死後を除きます)
それでも、プレーステーションの成功や、映画や音楽、更には金融業への進出によって、他の家電メーカーとは異なる経営スタイルを切り開いてきました。

本書は、ミラーレスのフルサイズのカメラを開発したことから、その分野での売り上げ最多を達成したカメラ開発について、キーマンと思しき石塚氏にインタビューしたものを、編集しまとめた著作です。
一眼レフではキャノンのカメラを、コンデジでは各社の多数のカメラを購入しましたが、ソニーは3機種購入し、デザインやマニューなどに独自のスタイルを感じましたが、レンズ交換式は購入していないので、使用感は分かりません。

石塚さんは、例外的にデジタルカメラの開発に長く携わり、多くの機種の規格と開発、更には関連会社で製造現場を経験されているので、ソニーのカメラ開発について語るのに、最も適した人のようです。
元々の能力に加えて多くの経験を積んだだけに、お人柄が練れておられ、大きな視点と長期的な視野でソニーの開発の過程を振り返っていて読み応えがあり、ソニーが歩んだ歴史と経営状況の揺れと維持した精神が読み取れます。

文章が会話体であるため、非常に読みやすいこと、会話を臨場感を失わずに編集してあることから、あっという間に読了しました。
ソニーの来し方と、開発のあれこれに興味のある方にお勧めの著作と思います。
----------------------------
石塚茂樹  ○山中浩之
----------------------------
評価は4です。

※壁紙専用の別ブログを公開しています。
カメラまかせ 成り行きまかせ  〇カメラまかせ 成り行きまかせその2


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« パーフェクト・ドライバー/... | トップ | ロードハウス 孤独の街 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■読む」カテゴリの最新記事