読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

習近平の闘い 中国共産党の転換期

2015年11月27日 09時16分45秒 | ■読む
富坂聰著、角川新書刊
近年の中国の台頭は凄まじく、近代に負った屈辱の反動故か国力の誇示と勢力拡大の動きが顕著です。アメリカの凋落が確実に見えてきている現代にあって、日本がどの様に外交を進めて行くか益々判断が難しい時代になってきました。
傍若無人に見える中国の現状は、しかし、大きな矛盾に満ちており、このまま政体を維持することが非常に困難であることを、様々な書籍に触れて理解し始めました。共産主義と矛盾するはずの市場開放政策によって国が豊かになった一方で、貧富の差の拡大と固定化が極端に広まっているとのことです。背後では権力を利用した様々な腐敗が蔓延しているとのこと。
西側先進諸国では法治と報道の自由が公正と公平を確保するよすがとなっており、事態の推移が振り子のように行きつ戻りつし、しかも振り幅が極端に大きくならないで済んでいます。そうした価値観や制度と本質的に異なる中国にあって、巨大な慣性を持った崩壊への動きを何とか変化させようというのが習近平の施策であるというのが著者の主張です。恣意的な法律の運用や報道規制によってインターネットも厳しく規制されている中国で、西側先進国と同様の法治や報道の自由がすぐに実現すると、大きな混乱が起こるのでしょう。是非は擱くとして中国の行く末は、かつてない未知の世界を見せてくれるのかもしれません。
著者は北京大学に留学し現地の様子に詳しくインサイダー情報が豊富です。明快で簡潔ながら説得力のある著書です。読んで良かったと思います。
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URL => https://ja.wikipedia.org/wiki/富坂聰
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評価は5です。

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