澤康臣著、岩波新書刊
遙か昔から政治経済活動が多国間に及んできなしたが、近年は、流通や技術の革新で文字通り全世界にまで広がり規模も大きくなっていますが、国々の行政活動は直接には国外にとどめられています。しかし、犯罪行為は国家の枠組みを超えています。そうした中、本書は、現代の世界各国のジャーナリズムに関わる人々の活動を紹介し、各国の状況を見ることによって日本に固有な報道に関する制度の壁を示しています。
前半では、パナマ文書を巡る国際的なジャーナリストの協力体制と活動の経過、イタリアマフィアがアフリカへの進出した経緯と状況を暴いた報道活動など、国境を越えて広まっている犯罪を追うジャーナリズムの人々の姿が活写されています。一方で、日本の法制度の問題点も本書で初めて知りました。著者の問題意識を理解しました。
その一方で、ジャーナリズムそのものに対する疑問を掘り下げていません。私の限られた経験からしても、新聞やテレビの報道は興味本位であり、取材には方針ありきで現実をありのままに捉えることがないがしろにされていると感じます。また誤った報道をしても、そのことを明確にしない。政治家や企業が失態をさらけ出した際に読者受けのする派手な攻撃を加えるのに比べて、保身の権化としか思えないお粗末な対応です。片手落ちとしか言い様がありません。
一般に、政治家への尊敬が失われているとう言いますが、マスコミに対しても同様であろうと思います。視聴者に代わって世の不祥事を激しく糾弾し続けていた元アナウンサーが、家族の不始末で世の糾弾が自分に向けられた時に唖然としたとのことですが(と週刊誌の広告の見出しに書いてありました・・・・)、マスコミ自体が厳しく反省しなければならないのではないかと思います。心の平安を保つ一番良い方法は、低俗と判断した報道に目を向けないことなのでしょう。(山本夏彦さんが「週刊誌は読まない。新聞や電車の中吊りの見出しを読めば良い。買ってもらうために知恵を絞って内容を要約しているのだから」という趣旨のことを書いています。) 本書の著者の正義とは何なのでしょうか。その点を疑問に感じました。
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URL => http://books.bunshun.jp/articles/-/2989
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評価は4です。
※壁紙専用の別ブログを公開しています。
=> カメラまかせ 成り行きまかせ
=> カメラまかせ 成り行きまかせ その2
遙か昔から政治経済活動が多国間に及んできなしたが、近年は、流通や技術の革新で文字通り全世界にまで広がり規模も大きくなっていますが、国々の行政活動は直接には国外にとどめられています。しかし、犯罪行為は国家の枠組みを超えています。そうした中、本書は、現代の世界各国のジャーナリズムに関わる人々の活動を紹介し、各国の状況を見ることによって日本に固有な報道に関する制度の壁を示しています。
前半では、パナマ文書を巡る国際的なジャーナリストの協力体制と活動の経過、イタリアマフィアがアフリカへの進出した経緯と状況を暴いた報道活動など、国境を越えて広まっている犯罪を追うジャーナリズムの人々の姿が活写されています。一方で、日本の法制度の問題点も本書で初めて知りました。著者の問題意識を理解しました。
その一方で、ジャーナリズムそのものに対する疑問を掘り下げていません。私の限られた経験からしても、新聞やテレビの報道は興味本位であり、取材には方針ありきで現実をありのままに捉えることがないがしろにされていると感じます。また誤った報道をしても、そのことを明確にしない。政治家や企業が失態をさらけ出した際に読者受けのする派手な攻撃を加えるのに比べて、保身の権化としか思えないお粗末な対応です。片手落ちとしか言い様がありません。
一般に、政治家への尊敬が失われているとう言いますが、マスコミに対しても同様であろうと思います。視聴者に代わって世の不祥事を激しく糾弾し続けていた元アナウンサーが、家族の不始末で世の糾弾が自分に向けられた時に唖然としたとのことですが(と週刊誌の広告の見出しに書いてありました・・・・)、マスコミ自体が厳しく反省しなければならないのではないかと思います。心の平安を保つ一番良い方法は、低俗と判断した報道に目を向けないことなのでしょう。(山本夏彦さんが「週刊誌は読まない。新聞や電車の中吊りの見出しを読めば良い。買ってもらうために知恵を絞って内容を要約しているのだから」という趣旨のことを書いています。) 本書の著者の正義とは何なのでしょうか。その点を疑問に感じました。
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