読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

幕末・明治のおもしろ写真

2010年01月21日 05時55分50秒 | ■読む
石黒敬章著、平凡社刊
本書の著者紹介によれば、昭和16年に生まれ、昭和39年に早稲田大学商学部を卒業後、現在のテレビ東京に勤務のした後、石黒コレクション保存会を設立したとありますが、会社員としての経歴は紹介されていません。現在は下記のURLによれば「よろず企画業」とのことです。
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URL => http://www.shinchosha.co.jp/writer/762/
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さて、本書は、著者のコレクションの中から幕末と明治期の写真を、当時の写真家(写真師というそうです)ごとに章立てして紹介しています。また、最後の章は、森有礼(ありひろ)の所有とおぼしきアルバムを取り上げ、詳しく解説をしています。その中に、森の妻であったと思しき常(つね)の肖像写真が素晴らしいのでびっくりしました。明治期にあって、西洋服を着た日本人女性が、こんなにも高貴な風情であったのかと目を惹きました。当時のあるお抱え外国人がすっかり惚れ込んで結婚を申し入れたが叶わず、その外国人は一生独身を通したと、というほどの美女であったとのことです。
著者が、その写真の主が常であったことを確認するまでの謎解きは、誠にスリリングでした。また、他の町並みの写真の場所や撮影の時期など、写真を読み解きながら推理して行く様にも感動しました。また、本書で紹介しているのですが、当時の白黒写真に手書きで色彩を加えたものがあったそうです。また、日本は高温多湿であるために、写真の劣化が進み易いのに対して、ヨーロッパで発見された写真は、紀行が異なっているため、かなり良い状態で残されているとのことです。
世の中には、実に多岐に亘る関心の在り方が存在することを、本書を通じて改めて気付かされました。楽しい一冊でした。
評価は4です。

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