木全賢著、エムディエヌコーポレーション刊
著者は大手企業を数社勤務した後独立して、デザインに関するコンサルティングを行っているとのこと。本書のタイトルが目を引いたので手に取りましたが、聞くところによると、一般的にタイトルは編集者の決定事項だそうで、そのタイトル(お題)に沿って著作者が執筆することが一般的だそうです。本書はどうなのでしょうか。
さて、モノの魅力は大きくデザインと性能に左右され、その次にコストパフォーマンスが続くのではないでしょうか。人によって、あるいは用途によって、その優先順位は変わることでしょう。しかし、実用本位であれば、必要とする性能(使い易さを含む)を満足する範囲で、定評のある製品を買うことが合理的です。しかし、デザインが素晴らしいと、性能や値段を度外視して買ってしまうこともあるでしょう。更にはブランド力が購買行動に大きく影響する。
例えは良くないかも知れませんが、結婚相手は見た目以外の実際的な面で選択することもありでしょうが、一目見てとらわれてしまうほどの美貌や、強烈な個性に魅入られてしまうこともあります。見た目と印象だから、これもデザインと言えるのでは?
本書を読むと、戦後のデザインの変遷と、それぞれのデザインの意味が理解出来て、大衆を対象とする大量生産される商品をデザインする側の立場から、デザインを巡る様々な事柄(時代性、先進性、質感、使い易さ、作りやすさ)の制約を踏まえたデザインに込められて思いが浮かび上がって来ます。特に最後のブラウン => ソニー => アップルと受け継がれた、先進的なデザインの系譜の解説は、腑に落ちるもので、著者の研鑽の一端を垣間見せていると思います。
なお、本書の途中に収録されたカラー図版には、画期となった代表的なデザインが提示されており、本書のデザインの変遷の解説を理解することに大いに役立っています。
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○木全賢 => https://blog.goo.ne.jp/designsoudan
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評価は5です。
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