読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

わたしを認めよ!

2009年12月05日 17時47分22秒 | ■読む
瀬古浩爾(こうじ)著、洋泉社刊
勢古さんの本を久しぶりに読みました。この前は「自分に酔う人酔わない人」です。ただし本作は、多分、作者が生きにくいと感じているこの世と自分との関係を『承認』というキーワードで分析しており、かなり真剣な議論が展開されています。
瀬古さんは、基本的に自分が納得できないことには、どんな権威者が発言していようが、その内容を批判しています。つまり、現実に生きていく上で、役に立つか、納得できるか、の自分自身の尺度で判断しています。そうしたスタイルに対し、激怒する人もいるのでした。柿の方はかなり怒り狂っています。
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URL => http://mazoero.hp.infoseek.co.jp/tondemo.html
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私は、高校生の時、現代国語のテストの際、岡本太郎の縄文美術を論じている文章を読んで、さっぱり分からないことから、自分の理解力がかなり低い水準にあることを自覚したので、難しいことを難解に表現するよりも、難しいことを簡明に表現することに共感を覚えます。そんなわけで、私は、瀬古さんの議論が分かり易く共感を覚えます。むろん、簡単に表現できないこともあるでしょうが、学問や専門分野以外では、分からないお前が悪い、などの態度は通用しない世の中になってしまっているのではないでしょうか。
さて、本作では、人が生きる上で、他者からの「承認」が不可欠であり、人は、「承認」を求めて、誠に見苦しい行いをしてしまうことを解き示しています。過剰な自己表現や押しつけ、その反対に、相手にすり寄ってしまう。そして極端な場合には、人の承認など不要だ!、との説など。昨今の犯罪の動機が止むに止まれず「承認」を求めての挙げ句の結果ではないか、との指摘に納得しました。
私の半世紀世の来し方を思い返せば、思い出すだけでも赤面するような事どもが、多くの場合「承認」にかかわることではなかったかと思います。恐らく、本書を読むと、普段からなぜかなぁ、と感じている、身の回りの変な人の変な行いが「承認」を求めている結果であると理解でき、耐える力を与えられるような気がします。お勧めの一冊です。
評価は5です。

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