黒木亮著、日経文芸文庫刊
後にJFEスチールになる川崎製鉄の創業者西山彌太郎さんの評伝です。
戦後に活躍した松下幸之助さん、本田宗一郎さんなど、著名な方々に比べ、全く知名度のない人物を扱った本書を手に取ったのは、「鉄のあけぼの」というタイトルに惹かれたからです。
著者の黒木さんの名前にも初めて触れました。
黒木さんの略歴を見ると、私とほぼ同世代で、国際金融の世界で活躍されたようです。
読んでいる時に何度も感じたことは、登場する人々の言動や出来事が、現在進行形と感じる程リアルに、細部に亘っていると言うことでした。
ルポに近い小説の手法かもしれません。
巻末の「主要参考文献」の一覧を見ると、著者は膨大な資料を渉猟し、西山さんの人物像を刻み上げたことが感じられます。
戦中戦後の厳しい時代を生きた先人達の尊い姿に深い感動を覚えましたが、その先頭に立って、緻密な研究とその上に立てた壮大な夢の実現を目指した西山さんの姿に触れたことは幸運でした。
-------------------------
○黒木亮 ○川崎製鉄
-------------------------
評価は5です。
※壁紙専用の別ブログを公開しています。
〇カメラまかせ 成り行きまかせ 〇カメラまかせ 成り行きまかせその2
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます