読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

「人間嫌い」の言い分

2011年06月16日 20時26分20秒 | ■読む
長山靖生著、光文社新書173刊
私は「人間嫌い」を自称しているので、本書を手に取りました。中々の良書です。そもそも「人間嫌い」の根本は、自身の存在に対する疑問に端を発するのではないかと感じています。間違って生まれてきたという感じです。周囲との齟齬を幼い頃から感じている私にとって、人と交わることは、かなりの努力と工夫を必要としています。
周囲の人々を見ると、実に様々なキャラクタの持ち主で、この世は不思議なワンダーランド、といった趣です。そうして中で、自然に(というか、ありのままの自分をある程度出しても馴染める程度)交われない自分が何なのか、という疑問を絶えず自問自答してきました。
そうした意味では、本書に答えはありません。本書の特徴は、そのような自分を肯定して(存在を取り敢えず是として、生きて行く意味や考え方を提示している点にあります。下記のURLによれば、著者は、歯科医の傍ら、夏目漱石などの近代の文芸作品等を新たな視点で読み直し論評しているとのことで、経歴が実にユニークです。本書中に夏目漱石の著作を下に、近代の夫婦の在り方を巡る葛藤を分析して紹介していますが、相当に論理的(理屈っぽい)方とお見受けしました。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/長山靖生
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「人間嫌い」というのは、かなり偏屈な感じがありますが、世間に迷惑を掛けないことを心掛けて来た私にとっては、「人間嫌い」を是として生きて考え方を是とする本書の主張は、本当に私の心を軽くしてくれました。
評価は4です。

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