夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

野茨 からまる君を はがれか行かむ 

2016年06月05日 07時55分18秒 |  気になる詩、言葉


道の辺の荊(宇万良=うまら)の末(うれ)に 延(は)ほ豆の
  からまる君を はがれか行かむ
      丈部鳥(はせつかべのとり)
      万葉集 2-4352


道の傍の荊(茨)の先に這う野豆のようにまつわりつくあなたを引きはがすように別れて行かなければ

使役人として徴用されて家族と別れて遠くへ行かなければならない気持ちが込められた詩ですね。
うまら、、、いばら(棘、茨、荊)
この詩の作者は、天羽部の上丁(かみつよほろ)と出ていますが、天羽は千葉の君津当たりの古い地名。(今でも千葉県立天羽高等学校なんてのがあります) お近くの町の方だったんですね。ちなみに丁(よほろ)は使役に駆り出される人のことです。