夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

言問はぬ木すら紫陽花

2016年06月07日 09時40分27秒 | 日記



言問はぬ木すら紫陽花 諸茅等(もろちら)が
     練の村戸にあざむかえけり
       大伴家持
       万葉集 4-773

なんだか知らないけど、雨っぽくなったら、途端に万葉集だの、和歌の歌人の話ばかり出してきますね。
浅茅原 つばらつばらにもの思へばとか
道の辺の荊の末に延ほ豆のとか、
玉の緒よ絶えなば絶えねは式子内親王のお詩で、藤原定家を頭に置いたものでしたよね。

今日もまたまた、万葉集。
大伴家持って、勅撰集のあの尊厳なる歌集の中に、恋の戯れ詩をいくつも載せているんですよね。
有名なのは合歓の花を巡って
紀郎女が 
昼は咲き夜は恋ひ寝る合歓木の花 
    君のみ見めや戯奴さへに見よ

って贈って、家持が
吾妹子が形見の合歓木は花のみに
  咲きてけだしく実にならじかも
って返して、、、
これ以前にも書いてますので、リンクを張っておきますね。

紀郎女との戯れ詩の応酬はこのほかにもいくつかありますよね。先日茅の写真を載せましたけど、私が採ってあげた茅、ちゃんと食べてね、、、って紀郎女が贈ると、あんたの茅、食べてみたけどちっとも太らないよ、、、なんて返事していたり、、、
もっと熱情的なものもいくつもありますよ。
まぁ、お暑いことで。。。




でも、坂上大嬢との間にも同じような戯れ詩の応答があるんですよね。
その一つがこれ、言問はぬ木すら紫陽花の詩なんですね。
凄くわかりにくい詩ですけど、
物を言わない木でも 紫陽花のように心変わりする。だから私が諸茅等の(ものを言える)人に騙されちゃったのは(当たり前だね)ってことなんでしょうかね。



紫陽花って花の色が変わっていくので、嫌われちゃったってのが通説みたいですけど、寛容になってきている今の人の目から見ても、もっとおおらかだったあの時代の人が、「心変わり、、駄目」って、それが通念であるってのがちょっと驚きです。なんせ、三日も相手の女の子のところに通っちゃったら、相手の親が「家の婿」ってお披露目してくれる。別れたきゃ、通わなきゃそれで終わりって世でしたからね。私は生まれてくるのがだいぶ遅すぎた。この辺のこと書いていたはずだけど、三日夜餅で検索かけてもヒットしなかった。見つかったらリンクを貼っておきますね。(見つけました。リンクは上に貼っておきます)